80話目 王太子妃のお仕事からの〜
あたしはお風呂に浸かりながら、顔を俯き、実は心の中は嵐が吹き荒れていた。
そう…………猛烈に反省していた。
最近のあたしって、ちょっと調子に乗り過ぎていたのかも。魔法が人より使えるからって、精霊に認められ神から
むしろ、あたしより上手に魔法を使える人は居ない位に思っていたんじゃないかしら。妖精族の子孫だからって、まだ
どう考えたって、魔法について深く知っているわけでもないのに。魔法を使って何年も経つ皆の方がずっと先輩で良く解っているのに。
凄い恥ずかしい。
猛烈にはずかしくなって、居た堪れない気持ちでいっぱいになった。頰も赤く染まり、メガエラがのぼせてしまうと心配した。
誰もあたしなんかの為に心配しないで!!
あたしって本当、馬鹿だなぁ。
メガエラが側に居るんだから、心配するのは当たり前なのに。
こんな
なんて浅ましい人間なんだろう。
何もかもが自分の都合に合わせて考えてしまうなんて、反省していると言いながらも結局、調子良く思ってしまうなんて……。
……何でこんな嫌な奴なんだろう。
……ううっ
…………………。
………………。
……………。
…反省した。
パンッ!とあたしは両頬を掌で叩き、自分に気合を入れた。
こんなんで王太子妃を気取るなんて、女王に怒られるわけだわ。
王太子妃として自覚を持てって言われていたわよね。
これからはあたしの失態はアルフの失態であり、ひいては王族全体の失態となるって。
そうよ!ここは気合を入れるしかない。ここで挫けてどうするのよ!
そうよ!!むしろ今こそ、アルフの為にアルフを支える為に気合いを入れるしかないじゃない!!
ムンッ!と露天風呂から立ち上がり、あたしは仁王立ちになって右手の拳を握り見つめた。
拳を天にかかげ気合を入れた!
「やるぞ!!エイエイオーー!!」
……固まるメガエラ。
……あ、まっ裸だった。
急いで着替えると女王に報告を入れた。既にミハイルから報告は受けていた為、詳細は省き2つの神殿や神の復活が無事済んだ事、その時に出会ったミュラとハイドランについて、2人の境遇を考え今後を相談したいと伝えた。
「うむ。その件は対ローゼンサンザール皇国じゃからのう。簡単に答えは出ないじゃろうし、宰相や貴族院、魔導師会とも相談し皆で考えていこうぞ。」
そして帰還の際の盗賊について、アルフとシルバニアが現在討伐にあたっている事。自分はアルフが帰還したら、寛げるよう準備をしますと何も憂い無く伝えた。
「……そうか。あい分かった。」
穏やかな笑顔で女王は応えた。
「……して、どうだったのじゃ?充分楽しめたかの?今回の旅行は。」
「はい!楽しまさせていただきました。女王様にもお土産を沢山買ってきました。後でお届けさせますね。」
フッと声を漏らすと、女王は扇で口元を隠した。
「良い顔になったものじゃの。」
そして一息つくと、真っ直ぐに真剣な目で見つめてきた。
あたしも真剣に女王を見つめた。
あたしの喉がゴクリなった。
「……ふむ。ならば、そろそろ王妃となる為の修行をはじめようかの。」
………ええ!?修行?
へ?何の修行だって?
!!!
お、王妃の修行〜〜〜〜!!
呆けたあたしに留めを刺された。
「もう、そろそろわらわも解放されても良い頃合であろう?春音や頼んじゃぞ。ホホホホッ。」
あまりの事に呆けて、瞬きも忘れ返事する前に女王は笑ったまま退出してしまった。
しまった!!
まだ早いですぅ〜〜って、言いたかったのにぃ〜〜〜!
女王様言い逃げズルい〜〜!!
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