75話目 新婚旅行〜最終日

 あたし達は緑の神様からは癒しの籠手こてを太陽の父神様からは光の槍を貰った。


 癒しの籠手はあたしやアルフ、シルバニアには必要無いし、オーレンも要らないと言った。


 それというのもあたし、アルフ、シルバニアは元々ヒールや癒し系の光魔法が使える。オーレンは体力が半端なくあるし、怪我するような事も10年程は無いというのだ。怪我位は身体強化魔法をかけながら戦う事で、通常より早く治ってしまうからだ。そういえば、あたしもアルフ達も皆、身体強化魔法をかける事が出来る者は使用しているわよね。そのせいだったのか。


 なので、ミュラに籠手こてを着けた。するとミュラの腕の形に合わせ、籠手が変形していった。


 びっくりして、ハイドランが籠手をミュラから外すと、通常の形に戻った。安心して、またミュラの腕に戻した。癒しの籠手は身に付けているだけで効果を発揮するらしく、身体強化魔法みたいに怪我をしても徐々に治してくれるらしい。


 ミュラは小さな体には魔法を使う度に体に負担がかかるらしい。強大な魔力持ちであるが、年齢的にも安定していないせいだろうと推測出来る。マッチの火位の魔法を使うつもりでもかなり大きなの炎が出てしまうらしく、魔法を使った次の日は寝込む事もあったのだ。



「マッチの火のつもりで森の木火事にしそうになるって、うん。……なんかどっかで見た事ある光景っすよねぇ?殿下」



「……うん。春音に魔法を教えていた時を思い出すね。あれも凄かったもんなぁ。」



 ………うるさいなぁ。慣れない時はこんな事もあるもんなのよ!



 癒し籠手は体の魔力の流れを調整するのにも役立ったようで、魔法練習の後でも顔色が良くなった。



 そして、光の槍は満場一致でハイドランにあげた。ハイドランも強力な魔力はあるものの、まだ魔法自体は上手に発動出来ない。いざという時の為、いつでも光の攻撃魔法が使える光の槍はハイドランに向いていると思う。これでライトを照らすような小さな光魔法から、レーザーみたいな光の攻撃魔法も楽々使えるようになる。ミュラの護衛としても安心だ。


 ま、あたしだったら、自分で好きに作るしね。特に要らないかな。


 ただ、これらには加護というオマケが付いてきた。癒しの籠手には緑の神の加護が、光の槍には太陽の父神の加護が。なので、今のミュラは太陽の父神様と緑の神様の加護がハイドランには太陽の父神様の加護が付いている状態なのだ。


でも太陽の父神様なのに、光の神様の光の槍が貰えたのは何故何だろう。


闇の精霊のクロが教えてくれた。

光の神様は太陽の父神様の息子神なんだとか。火の神様もそうらしい。でもって太陽の父神様は神様の中でも、リーダーのような存在らしい。



 ……加護話で皆が盛り上がっていたので、あたしはそっと自分の加護状況を鑑定魔法で調べてみた。



 太陽の父神様の加護。緑の神様の加護。火の神様の加護。水の神様の加護。雷の神様の加護。風の神様の加護。土の神様の加護。愛と豊穣の神様の加護。闇の神様の加護。光の神様の加護。時の神様の加護。知恵の神様の加護。


 …………。


 …………うん。色々な神様の加護が付いているわね。頭から血の気が引いたので、あたしはソレを見なかった事にした。あたし、頼んでないし!




 兎も角、これでブルーライトの二つの神殿は復活させる事が出来た。もうここに居る必要もなくなったし、明日は午前中は帰る準備やお土産購入、午後からはミュラ達と海でのんびり楽しむ事にした。



 ミュラやハイドランの水着は皆のお土産を選びながら、賑やかな市場が並ぶブルー通りで購入した。良いのが無かったら、作っても良いしね。ハイドランには似合う水着があったが、ミュラに合うサイズの水着はあまり可愛い物が無かったので、早目に戻ってやはり作ってあげる事にした。


 ミュラの要望でフリルを多めに付けて欲しいそうな。



 薄いピンクの生地に白のフリルをたっぷり付けたワンピース型の水着。胸元はリボンとレースを付けた。どれも防水で仕上げた。基本はスクール水着のような型に上から同色のスカート部分にフリルを取り付けて、ワンピースのような形にした。


 ミュラに似合っていて、可愛く出来た。あたしもミュラもハイドランも満足した。


 昨日の夜中にこっそり沖に出て、首長シードラゴンをか(狩)って来て良かったわ。良い素材は必要よね。だいたい全長20m位の小ぶりな子供のシードラゴンだった。


 因みに巨大な首長シードラゴンの血抜きと捌き、皮なめしなんかはアルフがちょちょいとやってくれた。流石だわ。アルフ愛してる♡


 素材がいっぱいあるので、皆の分も作ってあげた。メガエラやピノとか侍女達にも作ってあげた。メガエラはボンッキュッボンなのでビキニ。ピノはワンピースで胸元はフリルたっぷりかな。


 オーレンとアレキサンダーはTバックかブーメランタイプが良いと言われたけど、あんまり好きじゃないし見たくないので、布多目にした。ミュラが居るしね。そんな姿を見せるのは宜しくない。シルバニアやグレンは ボクサータイプが良いと言われた。それは似合わないので、サーフタイプにした。ボクサータイプはアルフやミハイルの方が似合いそうだよね。


 あたしは青いビキニだけど、スカートもついているよ。ちょっと光加減で虹色になるの。昨日、首長シードラゴンを持って帰る時に虹色大王烏賊か居たからついでに捕まえたのよね。こっちは首長シードラゴンよりも10m位大きい30m以上もある大物だった。


 虹色素材が出来たのよね。お昼の串焼きにちょうど良かったし美味しかったし、良かったや。ふふ。


 雷魔法をちょっとかけたら、大人しくなったのよね。魔法で釣りって簡単で手軽で楽しいよね。



「はぁ!?イヤイヤイヤイヤイヤ!!春音様!?手軽じゃないっすから!こんなどデカイ首長シードラゴンも虹色大王烏賊も釣るのも持って帰るのも尋常じゃないっすから!」



 オーレンが頭掻きながら何か叫んでいたけど、イカ焼き大きいけど全然大味じゃないよ!柔らかくて醤油だれにもあってて、めっちゃ美味し〜!!最高!!



 あ〜あ。新婚旅行も終わっちゃったなぁ。明日は王都に帰らないとね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る