74話目 緑の神の神殿と入浴施設?
クリーム色のドーム型のお菓子のような建物が出来上がってきた。内壁は紺色の中に小さなクリスタルが所々収まっている。何も描かれていない。まさにプラネタリウムみたいに見える。でも天窓が大きくとられ日差しがスポットライトのように入ってくるので、真っ暗ではない。何が美をより立たせるのか解った上で計算したような作りだった。ここに宿泊施設や執務室を作りるのは野暮なような、何か悩んでいるみたいね、アルフ。
まぁ、ここはアルフに任せよう。
あたしは余計な事を言わないよう、なるべく口を挟まないようにと塔の方へ向かった。
塔は土台以外は全部瓦礫になっていた。ここはあたしが作ろうと思う。ある程度高さがいるので、彼方の世界のように鉄筋を入れて補強したい。
とりあえず、消毒と復活魔法をかけ、かつての塔の姿が蘇る。
煉瓦で出来た塔では安全面がやはり心配。これでは対して保たないよね。
というわけで、一旦煉瓦を崩して退かせる。これは後で何かに使えるでしょ。
地中深く掘り下げて、コンクリを流し込む。地下も作りたいからだった。
そして鉄筋をザクザク刺していく。縦横に鉄筋を立てた後に、コンクリを流し込む。板で形作らなくても、コンクリが流れ落ちずに留めておける魔法は万能だよね。しかもミキサー車も要らない。コンクリの水分を抜いて、乾燥させれば完成だもの。何人も人を使わなくても出来た。魔法って本当に便利よねと一人で感動していると側にツカツカとオーレンが来た。
「イヤイヤイヤ〜、俺達はとても一人では出来ないっすよ。そんな万能な魔法と魔力持ちは殿下と春音様達だけっす。普通はあり得ないって、気が付いて下さいよ。」
とオーレンが突っ込む。
ここの塔のクリスタルは透明なグリーンだった。今は陽を浴びて黄緑になっている。崩した煉瓦で神殿と塔の周りに塀を作った。
手持ち無沙汰なので、アルフ以外で内庭に花を植えた。緑の神の神殿だもんね。多めに飢えておこう。
アルフが出てきたので、神殿の中に入ってみた。
ドーム型神殿はそのままに隣に執務室と宿泊施設を作ったらしい。よく見ると神殿と同じ大きさの入浴施設も作っていた。シャワーやミストサウナ、寝浴や座浴、露天風呂にジャグジー?電気風呂まであるんですけど……コラコラ、アルフ?やり過ぎてない?屋根にソーラーパネルが見えているんですけど、これ後で怒られない?大丈夫?絶対、アルフの趣味が入っているよね。
まぁ、雇用が大幅に増えそうで良かったよね。シルバニア。ちょくちょく領地に帰りそう。
しかし、人が真面目に塔を作っている最中に何やっているんだか。
と呆れてアルフを見ていたら、またもや上から圧力がキタキタキタ〜〜!!
神様にしたら割と小ぶりな2.5m位の緑の髪が逆立ってフワフワ揺れている神様が降りて来た。細身でちょっと童顔。
<あはははははは!楽しそうな神殿作ってくれて、ありがとう!実は楽しみ過ぎて、精霊達に僕を乗り移らさせて、作っている所、ずっと見ていたんだよ!!楽しかったよ!本当にありがとう!>
あ、子供の気配って、あれ緑の神様だったのね。あたしとアルフの手を取ってクルクル回っている。ん?何か知ってるステップだな。オイオイ〜!何でマイムマイム踊らされているんだろう。
<フフフッ。父神様も既に降りて来ている筈だから、ちゃんと挨拶に行ってね。>
そう言うと、緑の神様はシュンッと消えた。
あー!そうね、太陽の父神様の所にも行かなくちゃだわ。って事で、皆で転移した。
そこにはぶすくれた表情の4m位の青っぽい銀髪の神様が仁王立ちしていた。筋骨隆々で強そう。迫力が半端ないな。
ん?あれ?どうして、そんな顔しているのかな?
<………。>
「……あの?太陽の父神様?どうかしましたか?何か気に入りませんか?」
シルバニアが青くなって見上げていた。え、ああ、シルバニア作だっけね。でも、結構綺麗に出来たと思うんだけどなぁ?
<………これじゃ、楽しくない。>
ウェッ!?
……?
!!
もしかして、緑の神の神殿の隣に作った入浴施設も欲しかったとか?
<……うむ。欲しいのじゃ!>
……そう、なのね。
……………………。
「アルフ、出番だよ。」
あたしはそっとアルフの肩を叩いた。
そして、太陽の父神様の神殿の隣にもこれでもかって言うような、ちょっと豪華目に入浴施設を作ってしまった。
これって、かなり観光名所になりそうなレベルよね。そして、雇用の必要性も更に大幅にアップしたんじゃないのかな。
まあ、神様の希望だし、おそらく怒られる事もないでしょう。
しかし、今回は調査だけの筈だったんだけどなぁ。すっかり神殿を復活、建てしまったわね。ま、また来る時の費用も手間もかからないし、良いか!
今日は疲れたので、太陽の父神様の入浴施設でゆったり汗を流してから、グレーメン城に戻った。ミュラも入りたかった!入ってみたいと言ったので、明日はグレーメン公爵、グレーメン城の側仕え含んだ皆で入りに来る事になった。
因みに、緑の神の神殿入浴施設は緑の見た目にも癒されるマイナスイオンたっぷりな施設に対して、太陽の父神様入浴施設は近代的なスーパー銭湯のような何でも有りな施設になってしまった。露天風呂に滝があったり、男女共有スペースでは専用のウエアを着て5種類の岩盤浴とか、休憩所にはドリンクバーとか、魔物のぬいぐるみのクレーンゲームとか、卓球台まであるんですけど、目の錯覚かなぁ。………遠い目。
これは早いとこ雇用問題を何とかしないと対応が大変だわ。
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