第42 手作り露天風呂〜♩
女子会が終わってから、あたしは腕輪でちょいちょい検索魔法で、アルフの位置を確認していた。
アルフの位置を示すマークを見ると、心が落ち着いて安心出来るから。
やはり淋しくて、怪我してないかなとか、女性版水の魔族みたいな奴に攫われてないかな?とか、考えてしまうとキリがない。いつも、待たせてばかりのくせにね。
夜一人でベッドに入ると、広くて落ち着かない。朝起きるとアルフを探して、そうだ居ないんだったと彼を想う。そんな時は婚約指輪を手にアルフの無事を祈り、願う。
お願い無事に帰ってきて。
そんな元気が無いあたしに、アミダラさんやミトレスが一緒にブーケッティアの町をお忍びで、周らないかと声をかけてくれた。
そういえば、町を通り過ぎる事はあっても、散策した事はない。
それは良いかも♩
あたしの髪は目立つので、三つ編みとお団子にして更に帽子を被った。濃紺のストレートワンピースに、白いウルクヤギのコートを着て、ドワーフから貰ったオールパールの指輪とペンダントは服の中に身に付けて、念の為防御した。レースもフリルも無し!材質は良いけど、目立たない物を極力選んだ。
アミダラさんやミトレスも派手過ぎる髪色だし、皆三つ編みお団子帽子!
アミダラさんがグレーのジャケットを着ると、不思議と怪しげな殺し屋のようになった。背が高いから、迫力は隠せない。ミトレスは黙っていれば、赤毛のアンだから大丈夫。清楚な格好が良く似合う。これに高坂はヤラレちゃったんだろうな。
ブーケッティアの町は賑やかで、鉱山村と比べると人が多い。それに建物も比較的綺麗で、個性的なお店も多かった。歩く人々もとても身だしなみに気をつけているような、お洒落だった。
フランスとか東京のように着ている服がどこか、洗練されていた。
やはり王都だからかしら。道沿いに花も沢山植えてある。
最初に行くのは金物屋。次の女子会で使う、皮製品を作る為の道具を買いに来た。皮に穴をあけるキリとか、皮切バサミとか、他にも皮を叩いて柔らかくするものとか、お店のご主人に相談し、必要そうなものを購入した。
次はマダムシャリーヌのお店。可愛い真っ赤などデカイリボンが付いた外装も目立つけど、中もド派手だった。赤と白のストライプに真っ赤なメタルリボンが所々飾られた壁。天井にはカラフルな、クリスタルガラスの魔石ライトが、幾つも輝いている。向こうの世界で言うと、原宿とかにありそうなお店。
「まぁ、レディハルネ!ようこそ私の小さなお城へ。」
頭の後ろから出てきたような、高音で話しかけられた。
「今日はレッドホーンの皮を使ったコート、ジャケットやスカート、7分パンツを作りたくて、お伺い致しました。材料は沢山あるのですが、デザインセンスと技術力ですと、マダムに頼むのが一番かと思いまして。」
そう!狩をする用の体にフィットした動きやすく、それでいて可愛くて格好イイのが欲しいの〜!!
こないだの討伐隊ルックはダサいの〜!あんなんじゃダメダ〜メ!
もう、大掛かりな討伐隊には参加するつもりないし、コッソリ一狩り行くとき用ですわ!
コッソリと言っても、アルフ付きだろうけど。
あ、きっとミトレスとか、そうすると高坂も来ちゃうだろうし、シルバニアも来そう。
まぁ、そんな時用ですね。
マダムシャリーヌは心よく引き受けてくれて、ちょいレッドホーンの皮を出したら、えらい喜んでくれた。
ライバル店の嫌がらせなのか、貴族が買い占めているのか、中々材料が手に入らなくて、困っていたそうな。
点数発表とか終わったら、大量に出回るよと教えてあげたら、笑顔で縫製代を割引きしてくれた。
ヤッタ〜!
ちょっと疲れたので、ケーキ専門店でお茶しながら、お喋りした。
ウォレット殿下は元気にしているんだろうかと話ししていたら、アミダラさんに手紙が届いたそう。
どうやら、あたしが向こうで実験で作った入浴場施設が大好評で、薄汚れていた町の人達も喜んで入るようになったとか。
疲れが取れやすくなったせいか、ばい菌の繁殖が減ったせいか、お陰で病気になる人も減ったり、人とのコミュニケーションの場にもなって、皆元気そうだとか良かった。
……ヤバい!そこでふと思い出した!そうだ!アルフが帰って来る前に、コッソリ作ってあげようとか、思っていたんだった〜〜!!
その話を二人にすると見たいとか言うので、急いで王宮に戻った。アミダラさんが「元気戻ってきたようね。良かった。」とミトレスと目配せ合ってる。心配かけちゃったな。でもその、心使いが嬉しかった。よし!頑張って作りましょう!
アルフの部屋はあたしの部屋の廊下を挟んで真向かいで、間取りも一緒。なので、お風呂の外の中庭に作る事にした。一応、ダンビラスさんとか、女王様に許可とってあるし、そしたら野次馬が増えた。
女王様とダンビラスさんが来ちゃったら、側近だの侍女だの、メガエラとかあ〜あ。
……やり辛いな。
ま、いっか。
事前に用意していた巨大な花崗岩。軽くする魔法で手に取り(この段階で拍手が起こる。コラコラ、見世物じゃないから。)花崗岩を浮遊させた状態で、細かく均等に四角くバラす。オオオオー!!とか要らないから。露天風呂の予定なので、庭を土魔法で掘り、そこに四角くバラした花崗岩を風魔法で、ホイホイホイとパズルのように、お風呂の形にはめていく。土と炎と雷魔法で再び花崗岩同士をくっつける。貝パールを粉にしたものを花崗岩表面に貼り付けて、虹色露天風呂完成。そして、タイルをお風呂の周りの下に敷き詰めてっと。内風呂から歩いて来れるようにね。鏡も前回同様、金属を抽出して固めて作った。鏡の周りを蔦模様で囲んだら完成!
後は水魔法と炎の魔法でお湯を張ってみたら、露天風呂完成です。
ここまで、大体1時間位?
中庭の花も眺められるし、中々イイかも。
ん?野次馬が口ポカーンしている。と思ったら、急に拍手と歓声が上がって、びっくりした。
そして、女王様が
「ズル〜い!アルフばっかり!私も欲しい!」
というわけで、次は女王様の所らしい。魔力はまだまだタップリ残っております。はい。無理していません。
女王様の所は倍の大きさにしてくれと言われた。貝パールの粉がもう残っていなかったので、急遽、精霊さんに相談したら、来たのよ。ドワーフさんがね。ブツブツ言ってたので、アルフ秘蔵のワインを1樽あげたら、親指グッ!ニコッとされた。良かった。
女王様の露天風呂は精霊と聖女(?)様が作ったと噂され、女王様はすっかり鼻たっか高になって超ご機嫌です。
そんな感じで、この日は色々やり過ぎて疲れて自室で休んでいた。
すると何の前触れもなく、ドドドンッという爆発したような音が、王宮の入口付近で鳴った。
慌ただしくなる気配。王立騎兵隊やら、近衛兵隊の声がする。
危険な気配は感じないけど。
…あ……この香りは、アルフ?
あたしは走り出した!
アルフの姿を確認した。
アルフもあたしを見て、満面の笑顔。
「アルフ〜!!」
ジャンプして抱きついた。
ちょい浮遊魔法使っちゃった。
アルフも一緒に浮いて、二人抱き合いながら、クルクル回って。
「はいはい」と言われ。
マグノリアさんに下にガッと降ろされた。
あら?他にもギャラリーが居たのね。
真っ赤な顔した、第3隊の人達と
アレ?知らない人もいる。
黒い髪の細身の男性。あたしと目が合うと、微笑んでくれた。
「……ではこれにて失礼致します。」おお!消えた。
あ、もしかして、ママン達の同僚?
やっとアルフが戻って来た!!
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