第236話小早川家

1546年6月:京・種子島屋敷


「若殿、小早川家の事でございますが」


「ああ分かっている、月山富田城で敗北した事が大きく影響を及ぼしているな」


「沼田小早川家の正平殿が戦陣で亡くなられ、幼い繁平殿が跡を継がれた事で、元就の策謀が激しくなっております」


「正平殿の戦没も、元就が画策した疑いが強いのだな」


「はい、それに伴い、以前に賀茂郡茶臼山城の乃美隆興が毛利元就に組して、竹原小早川家に毛利元就の3男・隆景を押し込んだ事が利いております。梨子羽宣平・日名内玄心・椋梨盛平が、沼田小早川家の入り婿に、小早川隆景を迎えようとしております。一方豊田郡稲村山城の田坂義詮は、繁平殿に忠誠を誓い元就や佞臣共の策謀をはねつけています」


「問題は平賀家の家督相続で、大内殿が失策をしたことだな」


「はい、ですが失策と言うよりは、小早川家と平賀家を争わせ力を奪う為の謀略と考えられます」


「だがそのために、最も警戒すべき毛利家に有利になっては何にもならない」


「はい、ではどうなされますか?」


「繁平殿の嫁は、種子島家の有力家臣から選ぼう、それで少しは動きを抑えられるはずだ」


「繁平殿の妹はどうなされますか、そのままにしておくと、隆景と縁を結んでしまいますが」


「繁平殿の護衛が務められるような家臣を婿に送り込むか?」


「それよりは、若殿の側室として御迎えになられてはいかがでしょうか?」


「それは無理だ、種子島家の後継問題を難しくしたくはない」


「ならば、御舎弟のどなたかの側室として京か大宰府に送られ、身の安全を図られた方がいいのではありませんか、繁平殿がいつ毒を盛られるか分かりません」


「元就ならば、それくらいの手は使うと言いたいのだな」


「若殿の御指図を受けて、ずっと元就を見張っておりました」


「そうだな、俺が気をつけろと何度も何度も言っていたのだな」


「はい、若殿の申された通り、元就は油断も隙もございません」


「そうだな、万が一の事も考えて早々に保護しよう、俺が直接高山城に飛んで行って話をつける」


「よろしくお願い申し上げます」


「問題は平賀家を継いだ隆保だが、これをどうこうしようとすると大内殿と本格的に争う事になる。そこで僧籍に入っている、隆保の兄2人を還俗させ種子島家家臣団に加える」


「最悪の場合は、その2人を使って沼田・竹原の両小早川家を支配下に置かれるのですね」


「仕方ない状況だからな」


「沼田小早川家」

小早川扶平ー小早川興平ー小早川正平ー小早川繁平

     -小早川義氏ー

     -小早川常平ー小早川弘善

           -小早川常景

           -平賀隆保


「竹原小早川家」

小早川弘景ー小早川弘平ー小早川興景ー小早川隆景



*平賀隆保の兄2人の名前は創作です。

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