第105話上京・台湾侵攻の下準備

1539年11月『筑前国・博多湊』種子島大弐時堯・11歳


 俺は禅定太閤殿下を京に送り出してから、毎日毎日台湾侵攻用の予防薬と治療薬を、身体内で生産して備蓄すると共に、伊予国や九州全土の内政に努力していた。もちろん食料確保と扶持内容変更の為に鯨狩りや鮫狩りを時間を増やしたが、同時に来年種まきする籾の品種改良を身体内で行ってもいた。


 身体内に一旦飲み込んだ籾を、身体内で魔法を使って遺伝子操作をして美味しく丈夫で実りの多い品種に改良したのだ!


 こんなことが出来るとは想像もしていなかったのだが、西表島でマラリヤの子を治すべく色々試行錯誤した結果、一度飲み込んでしまって身体内で魔法をかけた後に吐きだせば何でも出来ると分かったのだ。


 まるで狼が子供に一旦食べた肉を吐き戻して与えるのに近いのか?


 いやそんな事はどうでもいい、あまり美しい姿とは言えないが、台湾はどうしても支配下に置きたいのだ。だがそのために侵攻軍から多くの戦病死を出す訳にはいかない!


 その準備もあって、明国や朝鮮・東南アジア諸国から輸入できる限りの穀物を掻き集めている。それを領内にいる将兵や領民の食料とすれば、輸出した国々では飢餓が起こるかもしれないが、種子島家の将兵や領民を餓えさせることは絶対できない!


 それに品種改良した稲作が九州全土に広まり、台湾を占領して開墾開発が出来れば、種子島領を食料輸出地域にする事も可能だろう。そうなれば、一時的に飢餓に陥る地域や国を将来は助ける事も出来る!


 そうそう、皆は新米が美味しくて古米は不味いから、戦国時代でも新米が高くて古米が安かったと思っている人が多いと思うが、それは間違いです。戦国時代は小氷河期とも言える時代で、噴火や冷害・旱魃や風水害で飢饉が頻発していた。そんな時代だから美味しさよりも量が優先された、つまり腹が膨らむこと、満腹感を得られることが大切だった。


 新米はまだ水分含有量が多く、カラカラに乾燥した古米よりも炊きあがった時の量が少ないのだ。つまり同じ1合の米を炊いても、炊きあがった時の量は古米の方が多くなるのだ。だから米の値段も戦国時代は古米の方が高かったのだ!


 最初は種子島家の扶持制度に戸惑っいた国衆や地侍たちも、天候に左右されずに毎日毎日決まった量の玄米・塩・味噌が支給される事に安心感を抱いてくれたようで、進んで土地を離れる者も現れた。また家族を非戦闘員の自作農にして、戦える者だけが種子島家の陸海軍に志願する者も出て来た。


 種子島家の将兵全員を適正にあった兵種に配属し、台湾上陸作戦から侵攻築城、更には開墾開発生産をスムーズに出来るように訓練を施した。

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