第41話父上様4度目の上京

1536年8月『大隅国・根占城』種子島左近衛将監時堯・8歳


「監物殿、今回は土佐国の一条家とのつなぎをよろしくお願いいたします」


「なあにだいじょうぶさ、ここに来るまでにも1度謁見させてもらっているし、大隅守様も京で何度も一条卿と謁見されておられる」


 今年も津田監物殿が根来からか来てくださったが、今回は瀬戸内海を通らず土佐沖海路を使って来て下さった。しかも来る前に1度京に行って、一条卿とも話し合ってから来てくださっている。それに大隅守こと父上様も、献金献納の度に五摂家はもちろん公卿級の公家全員に手土産を持って挨拶に行っている。だから一条卿とも最低3回は面識があるのだ。


「そうだとも、少しは余のことを信用して欲しいものだな」


「そうですね、父上様は僕と違って社交的だから大丈夫ですね!」


「そうだとも、左近衛将監が創り出してくれた酒を共に飲んだら一発で仲良しだ!」


 そう言う事か!


 飲み友達なら少々の無理は利くのかな?


 それとも互いに地位官職の垣根を超えて利益を融通する為に、酒席の友と言う形式を取っているのかな?


「しかし今回は最精鋭の艦船を派遣するのだな?」


「ええ、場合によったら戦闘になる事もあると思っています」


「そうだな、大友も大内もなりふり構っておられないだろうな」


「はい、日本海側の山陰地方は尼子が支配していて大丈夫でしょうが、他の地方は大友と大内が攻撃を依頼する可能性があります」


「確かにな、それに積み荷を奪えば莫大な利益が手に入るしな! だが朝廷と幕府が御用船団と認めた種子島家の艦隊を襲うのは相当の覚悟が必要ではないか?」


「はい、しかし生きるか死ぬかまで追い込まれている国衆や水軍衆もいるかもしれません」


「確かにそうだな、人間追い込まれたら何をしでかすか分からんし、欲に目がくらんで後先考えずに動く人間もいるな」


 俺は今回の父上様の上京に対して細心の注意を払った。朝廷と幕府の御用船団と言う地位に胡坐をかく事無く、種子島家の平氏繋がりの縁故も使い、支配下の国衆・地侍にも紹介状を書かせ源氏・橘氏・藤原氏・菅原氏などありとあらゆる氏族の繋がりも利用し手土産も用意した。


 父上様を送り守る艦隊も、訓練を十分積んだ最精鋭の艦隊を全て投入した。訓練がすんでいない艦船は、たとえ南蛮船であっても足手まといになるので行かせなかった。上京艦隊は今年も莫大な商品を搭載して出航された。


「上京艦隊」

第1艦隊・第1戦隊・フリーゲート3艦(600兵)

     第2戦隊・フリーゲート2艦(400兵)

     第3戦隊・スクナー  6船(240兵)

     第4戦隊・ブリック  6船(240兵)

第2艦隊・第5戦隊・合関船  12船(1080兵)

     第6戦隊・合関船  12船(1080兵)

     第7戦隊・合関船  12船(1080兵)

     第8戦隊・合関船  12船(1080兵)

第3艦隊・第9戦隊・合関船  12船(1080兵)

    ・第10戦隊・合関船 12船(1080兵)

    ・第11戦隊・合関船 12船(1080兵)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る