第11話朝野小人目付
「待てこら、ど新人!」
「はい。ですが宜しいのですか?」
強気で行くしかない。
「なんじゃと!」
「奴隷同士の私闘は、王室法で禁止されていますが?」
「それがどうした!」
「買取所前で、これほどの狼藉を平気でする。砦の頭や幹部も、ここにおられる小人目付様方も、闇奴隷売買のグルだと、王室筆頭魔導士様・魔導士組合も考えますが?」
「待たんか!」
おっと、俺の担当の朝野小人目付様か。
保身か?
それとも正義感か?
「タケルの言う通り、奴隷同士の私闘は厳禁。また、中級上の魔法使いが三日も狩りの成果なしでは疑念を抱かれて当然だぞ!」
「横井殿、アヤとこ奴らの担当は貴殿でしたね」
「朝野殿それがどうしましたか?」
「担当の私闘を見逃し、アヤの狩りの指導もしない。奴隷売買の疑念を抱かれても仕方ありませんぞ!」
「な! 朝野殿は儂が奴隷売買に加担してると言われるのか!」
「そうは言わぬが、疑われる恐れがある。このままでは砦の役人全員が、不名誉な噂をされてしまいますぞ!」
「儂にはやましいところなどない。このこと黒磯奴隷千人頭様に報告しますぞ!」
朝野視点
(くそ、タケルの野郎面倒に巻き込みやがって。見逃せば王室筆頭魔導士様に査察を受ける可能性があるぞ。かと言って、こやつ等を咎めて横井と揉めれば、奴隷千人頭様に睨まれるではないか。仕方ない。危ない橋だが、両道保身を図るか)
「いやいや、そういう意味ではない。我ら砦の役人は王室に忠誠を示し、千人頭様の下知に従うが道理。また、千人頭様にあらぬ疑いを着せるような真似は、絶対慎まないと行かぬ。さもないと王室筆頭魔導師様の査察を受けるかもしれぬ! ここには隣の冒険者村から派遣された冒険者組合の職員もおる。村の代官所に噂が行けば、目付様も査察に来られるかもしれん。千人頭様にかかる迷惑は絶大ぞ!」
「う~ん。なれば、朝野殿はどうされよと申されるか?」
「なれば、タケルとアヤにパーティーを組ませて、狩りの難しさを思い知らせてやれば宜しい。タケル、アヤ、明日の準備をして来い」
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