多摩奴隷編

第2話転生初日1

 ん?

 ここはどこだろう。

 全く見覚えが無い。

 板壁・板張り床・煎餅布団・粗末な魔術師風の服・丸太の枕?

 ズラリと並んで寝てる男たち。

 ここは・・・・・魔の森の王国奴隷冒険者砦。

 俺は・・・・・タケル・奴隷で初級下の魔法使い。

 奴隷の身分を自分で買い戻すため、魔の森の冒険者に志願した。


 なんでまた、こんな転生するんだよ。

 それとも夢か?

 夢ならいいけど、転生なら思い出すだけ思い出さないと。


 え~と、計画性のない貧民の両親が俺を妊娠したのか。

 王国では、戦力・労働力になる子供を、無暗に堕胎したり、水子にしないように奴隷として買い取るんだな。

 ただ人身売買や誘拐を誘発しないように、母子に玄米五合と漬物の現物支給をして三歳まで養育させる。

 そのあとは子供が四歳になれば王国奴隷省で引き取り、魔力検査をした上で適正に応じて教育を施す。 

 十二歳で元服扱いで、五十歳まで王国の文武官吏として働けば平民として隠居できる。

 他の方法は奴隷冒険者として魔物を狩って、十二年間分の養育費を王国に納付すれば平民になれる。

 で、俺タケルは極少量だけど魔力が有り、弓・槍・剣も標準に扱えるから、冒険者で平民になることを選んだのか。

 王国への納付金は一日玄米二升分×四百二十日×十二年=玄米百石八斗か。

 良心的なのか悪質なのか、今は判断できんな。

 獲物の買取金額と日々必要な生活費で変わるな。

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