第37話船橋の公園散歩巡り スィーツ食べ放題

12月8日:ららぽーとTOKYO-BAY


 俺達4人は、今日も夜明け前に起きて檜風呂を愉しみ、準備万端整えた上で7時から朝食バイキングに行った。お腹いっぱい朝食を楽しんだ後で、船橋競馬場までの歩いて行くことにした。それもただ歩くのではなく、公園によりながら歩き巡ることにしたのだ。


 ホテルを出て最初にたどり着いた公園は、幕張公園と言う場所で、平日の朝早くなので誰もいなかった。十分な広さの場所に、ジャングルジムや滑り台などの子供用の遊具も設置され、日中なら小さな子供連れお母さんで一杯なのかも知れない。


 幕張公園を通り抜けて次に辿り着いたのは幕張船溜跡公園で、国道14号沿いにあり、施設内に野球場1面とテニスコート2面が設けられていた。


 以前この場所は、漁船を係留する舟溜だったようで、公園の一隅には帆掛舟に模した漁撈碑が建立されていた。かつての幕張の海には広大な干潟が広がり、魚や貝、のり等の豊かな漁場だったことが、碑文に書かれていた。


 そう言う場所だからなのだろう、、舟をかたどったアスレチックが設置されていて、太郎君と花子ちゃんが大はしゃぎで遊んでいた。幕張公園より5・6倍の大きさのような気がするが、野球場とテニスコートがある分、小さな子供が使える場所は限られている感じだ。


 太郎君と花子ちゃんがほどほど満足したのを見計らって、幕張船溜跡公園を抜けて若葉緑道にはいった。ここは緑に囲まれた安心できる歩道で、4人で手をつないで歩く事が出来た。昨今よくあるような、車が暴走して歩道に突っ込んで来る事を心配せずに歩く事が出来る。


 若葉緑道を南船橋駅の方に歩いて行くと、いつの間にか浜田緑地に入っていた。浜田緑地の一部は公園のように広くなっていて、桜の木を植えているようだが、少し広めの緑道に感じられた。


 浜田緑地を歩いていると、今度もいつの間にか幕張海浜緑地に入っていた。幕張海浜緑地に入るといきなり広くなり、広~い芝生の場所とテニスコート2面があった。広いからそれほど気にはならないのだが、片側は高速道路に面しているようだ。


 さらに4人で手をつないで歩いて行くと、切れ目なく公園が続いているのに習志野市香澄公園と言う場所になっていた。この地域に入ってからは、小さな丘があったりバーベキューが出来る野外炉があったりした。


 丘の上にある滑り台などの遊具に、太郎君と花子ちゃんが気を惹かれたようなので、進むのを止めて4人でしばらく遊ぶことにした。ターザンロープでひとしきり遊んだ後で移動したが、菖蒲池は季節に来ればきれいな花を観れるだろうし、子供が入って遊ぶのだろうじゃぶじゃぶ池も、夏に来れば非常に楽しい場所だろう。


 バーベキューが出来るからなのかもしれないが、屋根のあるベンチとテーブルもあれば、屋根の無いテーブルとベンチもあった。園内を流れる川をたどっていくと、何と滝まで作られていた。。夏まで4人でいられたら、一緒にバーベキューがしたいと心から思った。


 今度もいつの間にか習志野緑地と言う場所に入っていたが、看板の説明を読んでみると、さっきの香澄公園も習志野緑地の一部と言う事だった。


 習志野緑地と言う場所は、湾岸道路や鉄道による交通公害と、工場群による産業公害の防止の為に設けられた緩衝地帯なのだそうだ。


 その中は大きく3つに分けられていて、公園地帯の「香澄公園」、スポーツ施設の「秋津公園」、野鳥観察が出来る「谷津干潟公園」があるそうだ。


 確かに園内には、ウォーキングやジョギングが愉しめる小道が整備されていて、健康器具が沢山設置されているフィットネス広場と言う場所もあった。


 4人でぶらぶらと歩きながら川を渡ると秋津公園と言う場所に出たが、さっき見た看板に書かれていた通り、夜間照明付きの野球場が1つにサッカー場が1つ、それにテニスコートが6面も設けられていた。


 ここは太郎君と花子ちゃんの遊び場には相応しくないと考え、広い道路を渡って再び公園を突き抜け、更にまた川を渡って公園に入り、どんどん、どんどん、歩いて谷津干潟公園地区に入った。


 ホテルを出る時は、ここで谷津干潟自然観察センターに入り、冬の野鳥観察をする心算だったのだが、途中の公園での遊ぶが楽しくて楽しくて、ついつい時間が遅れてしまったいた。


 すでに12時を過ぎてしまっているので、谷津干潟を野鳥を眺めながらぐるりと回って、昨日の谷津バラ園にも寄らず、ららぽーとTOKYO-BAYに向かった。


 そうなのだ、今日は3人が愉しみにしているスイーツの食べ放題に行くのだ。そのチェーン店の天王寺店に入った事があるのだが、正直俺には少々甘すぎる。だが3人が、昨晩あれだけ楽しそうに話していた以上、水を差すような事を言う訳にはいかない!


 北館1階のスィーツ食べ放題の店に入り、時間一杯まで食べることにした。


時間

平日  :90分

土日祝日:70分


料金

大人(中学生以上)     :1530円×2=3060円

小人(4歳以上小学生以下):860円×2=1720円

3歳以下         :無 料

(コラボ料金・ハーゲンダッツ・イルジェラート食べ放題は別途料金)


小計:4780円


「ケーキメニュー表」

サンマルク

甘酒のババロア

青海珈琲のムース

ラズベリーシフォン

オールスパイスとナッツの焼き菓子

コーンポタージュの焼き菓子

しっとり苺チーズケーキ

乳酸菌入りティラミス

ザクザクチョコのロングシュー

マシュマロとガナッシュクリームのミルフィーユ

ラムレーズンロール

ふわふわショート

ミルクレープ

バナナオムレット

ベリーのケーキ

カップケーキ(各種)

カカオ80%濃厚チョコレートケーキ

プリンロール

ベイクドチーズ

クラシックショコラ

スフレチーズ

ほろ苦カラメルカスタードのケーキ

シフォンケーキ(プレーン)

チョコレートケーキ

抹茶と小豆のケーキ

モンブラン・オ・マロン

ベイクドチョコ

ストロベリームース

レアチーズ

フランボワーズのムース

ちゅるちゅる飲むゼリー

スイパラプリン

「フレーバーウォーター」

ミントウォーター

ミントキュウリウォーター

レモンオレンジウォーター

グレナンデンフランボワーズウォーター

レモンライムウォーター

りんごレモンウォーター

グレープフルーツウォーター

「フレーバシロップ」

しょうがシロップ

りんごシロップ

レモネードシロップ

ゆずシロップ

クランベリーシロップ

パインシロップ

オレンジシロップ

「パスタ」

トマトソース

ペペロンチーノ

ミートソース

明太子クリームソース

あんかけナポリタン

ブロード(鶏スープ)

和風だしスープ

トマトスープ

カレースープ

クラムチャウダー

ビシソワーズ

「サラダバー」

「フリフリスナック」

「カレー」


 太郎君と花子ちゃんと綾香さんは、本当に喜々としてケーキを選んでいた。昨日の話では、3人とも全ケーキを制覇するつもりのようだ。


 俺は食べれないと思っていたのだが、チーズケーキを中心に甘すぎないと思われるケーキを食べた。しっとり苺チーズケーキと青海珈琲味のしっとりチーズケーキを交互に食べると、俺の大好きな苺味と、アイスコーヒー豆の苦味を加えた濃厚なチョコ味を愉しめた。


 ミックスベリーを食べてみると、ラズベリー、ブルーベリー、ストロベリーの甘酸っぱさと、ココアのスポンジのほのかな苦みが、美味しい調和を見せていた。


 ジャンドゥーヤは、コーヒーのスポンジにジャンドゥーヤのチョコレートクリームをサンドした濃厚なナッツのケーキで、ナッツの風味を口一杯に愉しむことが出来た。


 他のケーキもそれぞれに美味しく、本当にお腹がはち切れんばかりのケーキを食べてしまった。もちろんそれは太郎君と花子ちゃんと綾香さんも同じで、船橋競馬場の開門時間までららぽーとTOKYO-BAYをウィンドショッピングする元気もなかった。


 だが苦しくてもやらなければならない事がある、それは振込みだ。


 もういいかげん大金を持ち歩く事にも慣れたが、出来れば土日の前には手持ちのお金を入金しておきたい。俺は1人で、ららぽーとTOKYO-BAY内にある郵便局のATMを使い、3470万円をネット銀行口座に振り込んだ。






船橋競馬場パドック


「あの子脚痛い~」


「花子にも痛いと言ってるぅ~」


「おい、厩務員さん、その馬混合跛行を起こしているぞ、チェックしないと予後不良になるぞ!」


「なんだと?!」


 太郎君と花子ちゃんの指摘で、この日も第2競走と第7競走で出走を取り消し、除外となる馬が出た。俺達は既に顔を覚えられてしまっているようで、第1競走からパドックで馬を牽く厩務員さんが、太郎君と花子ちゃんの前に来るとゆっくり歩かせていた。


 馬の事を心配する太郎君と花子ちゃんを止める訳にもいかず、不安を抱えながら第2競走のパドック周回を迎えたが、不安が的中してしまい、跛行馬は2人の前を歩く事態となってしまった!


 このまま雲隠れしようかと言う思いもよぎったのだが、養老馬の為の資金は少しでも多い方がいい。いや、本当なら逃げて別の競馬場で稼ぐ事など簡単なのだ。だが、俺自身がお金が怖い借金が怖い性分であるため、金の亡者のように稼げるチャンスを逃がせないのだ!






「すみません、先ほど馬のケガを教えて下さった方でしょうか?」


 4人で第3競走のパドック周回を見ていると、船橋競馬場では珍しく、高級なスーツをビシッと着込んだ紳士が話しかけてきた。


 本当なら知らぬ存ぜぬを決め込みたかったのだが、パドックで馬を牽いている厩務員たちが、眼でそうだと合図しているし、何より太郎君と花子ちゃんは嘘などつけないのだ!


「そうだよ、教えてあげたんだよぉ~」


「花子も教えてあげたんだよぉ~」


「そうか! 君たちが教えてくれたのか、本当にありがとう! お陰様で、馬のケガを酷くさせずに済んだよ」


「痛い痛いって言ってたよぉ~」


「花子にも痛いと言ってたよぉ~」


「君たちは馬の言葉が分かるのか?!」


「まぁまぁまぁ! 純真な子供の頃の特殊能力ですよ、マス塵に知られて、人生を狂わされるのは嫌なので、黙って帰ってもらえませんかね?」


「え? ああ、そうか、そうですね、マスコミに知られたら、平穏な人生を送れなくなりますね。馬の恩人にそのような人生を送らせるなど、絶対にしてはいけない事ですね。分かりました、何かお礼をと思いましたが、今日はこのまま帰らせていただきます。本当にありがとうございました!」


「いえいえ、こちらこそお心遣い感謝したします。今引退した競走馬を養老するボランティアをしていますので、引き取り手の無い馬がいたらご紹介ください」


「そうなんですね、分かりました、これが私の名刺になりますので、何かあればここに連絡ください」


「僕の方こそよろしくお願いしたします。今は毎日色んな競馬場を巡っていますので、携帯のこの番号か、このメール番号の方に連絡くださいますか?」


 俺達は名刺交換をしたのだが、事はこれだけでは終わらなかった。どう言う思惑があるのかは分からないが、昨日一昨日と、太郎君と花子ちゃんが跛行を指摘した馬のオーナーたちも名刺交換に現れた。


 極めつけは、太郎君と花子ちゃんが第7競走でも跛行馬を指摘した事だった。ワラワラと馬主たちが現れて、我も我もと名刺交換を申し込んで来たのだ。遂には第8競走の現金投票の締め切り時間が迫ってしまい、途中で待っていてもらったほどだ。


 昨日一昨日は競馬場で食事をした俺達だが、さすがにスィーツ食べ放題の後では全く食欲がわかなかった!


 そんな慌ただしくも幸せな1日を過ごした俺達だが、最終競走が終わった時には、今日もネット投票も現金投票も2252万4300円づつ勝つ事が出来ていた。


ネット投票:2252万4300円

現金投票 :2252万4300円


 何時もと同じように、最終競走後の混雑を避けて、少し時間を置いてから船橋競馬場を出て、タクシーを呼んで昨日と同じホテルの戻った。檜風呂に入ってゆっくりくつろぎ、明日中山競馬場周辺の食べに行く店や遊び行く場所をネットで調べた。


タクシー代:2710円


 今日も1日の終わりに、布団を並べて4人で川の字になり、スィーツ食べ放題のケーキの品評会を開いた。今度の船橋開催でも、1度はスィーツ食べ放題に来たいと言うのが、3人の一致した見解だった!

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