第10話品川区民公園と大井競馬場

大井競馬場近くのシティホテル:グランドデラックスフォース


「お腹空いたぁ~」


「花子もお腹空いたぁ~」


「おはようございます、勝也さん」


「おはようございます、綾香さん。太郎君、花子ちゃん、夜明けと共に起きる早起きはいいんだけど、あまりうるさくしないでくれるかな」


「お腹空いたぁ~」


「花子もお腹空いたぁ~」


「食べ放題は7時からだからね、テーブルに出てる物は、好きな物を好きなだけ食べていいから、7時までは顔を洗って歯も磨いて、お出掛けできる服に着替えておいてくれるかな?」


「分かったぁ~」


「花子も分かったぁ~」


「私はシャワーを浴びさせてもらいます」


「一緒に入っていいかな?」


「はい、嬉しいです勝也さん」


 俺と綾香さんは2つのベッドをひっつけて1つのベットのように使っていた。この部屋には4つベットがあるのだが、太郎君と花子ちゃんにはひっつけられないベッドを使ってもらい、俺と綾香さんはマットレスだけで、移動させられるベットを使わせてもらった。


 俺もまだまだ若い部分が残っていたし、綾香さんは寂しさを紛らわせるように、俺とベッドを共にしてくれている。






大井競馬場近くのシティホテル:レストラン


「このポテトサラダ、デザートと見間違うくらい綺麗に作られていますね」


「そうだね、1品1品も綺麗に作られているし、全体の盛りつけも彩りがいいね」


「はい、気持ちが華やかになるくらい綺麗です」


「美味しいよ」


「花子もこの豆腐好きだよぉ~」


「そうだね、このメニューを見ると、豆腐はスタッフが毎日手作りしているみたいだから、真心がこもっているのかもしれないね」


「はい、綺麗なだけじゃなく、どれもこれも美味しいです」


「そうだね、中華粥は鶏で出汁をとっているけど、鶏独特の臭みが一切なく、上品な風味で美味しく出来あがっているよ」


「はい、この味噌汁も毎日各地の味噌を使っているそうで、連泊の人が飽きないように気遣っているようです」


「中華粥すきぃ~」


「花子も味噌汁好きぃ~」


 俺は1巡目2巡目と食べ放題を愉しんだが、綾香さんも太郎君も花子ちゃんも愉しんでくれているようだ。3巡目に行く前に、もう1度メニュを確認して何を食べるか決めることにした。


「サラダ」

レタス&サニーレタス(トスレタス)

マコロニサラダ or ポテトサラダ

胡瓜

トマト

コーン

水菜

青豆(枝豆)

もやし

大根

人参

アーリーレッド

ブロッコリー


「カラフルデリ」※全16種のうち日替わりで3種類提供

かぼちゃとそら豆のクリーミーレモンドレッシング(橙)

イカとブロッコリーのイタリアンマリネ(緑)

茄子と厚揚げのピリ辛サラダ(紫)


「惣菜」※2種類を日替わり提供

れんこんのきんぴら

フキと筍の塩きんぴら

切り干し大根

筍の土佐煮

豚バラ肉の冷しゃぶ エスニックソース


「前菜類」

季節の野菜のマリネ リンゴジュレ

ざる豆腐(冷)or手作り湯豆腐(温)

納豆

しば漬け

梅干し

海苔の佃煮

シラス

大根おろし

昆布の佃煮


「パン類」※3種類を日替わり提供

石釜ベネチアブレッドダーク

角食

プチフレンチクロワッサン


「シリアル」

オールブラン

コーンフレーク

グラノーラ


「麺類」

うどん or そば

お任せパスタ


「玉子料理」

スクランブルエッグ or 玉子焼き


「揚物類」

ポテトフライ ※トマトケチャップ付


「肉類」

ベーコン

ポーク&チキンウィンナー


「魚類」※1種類を日替わり提供

鱒の塩焼き or 鯖の塩焼き


「炒物類」

ゴーヤチャンプルー


「主食類」

ご飯

中華粥


「汁物類」※カレーは1種類を日替わり提供

味噌汁

ポークカレーorチキンカレー


「デザート類」

プレーンヨーグルト

青りんごゼリー or ぶどうゼリー

フルーツカクテル、

オレンジ

パイナップル


「ところで綾香さん、大井競馬場の開門時間は14時10分なんだけど、それまでは銀行や電気屋さんを周りたいんだけど、大丈夫かな?」


「はい、大丈夫ですよ。勝也さんはスマホでネットを使うのが苦手と言われてましたから、ノートパソコンを買われて、モバイルWiFiルーターの契約をされた方がいいですよ」


「このホテルで銀行が開くまでゆっりして、銀行の入金が終わったら電気屋に行くのでいいかな?」


「はい、それで大丈夫です」


「それでいいよぉ~」


「花子もそれでいいよぉ~」


「もう1回とりに行くぅ~」


「花子ももう1回食べるぅ~」


「俺ももう1回肉と魚と玉子を食べますが、綾香さんはどうされますか?」


「私もデザートを頂きます」


 苦しいくらい朝食を詰め込んだ俺達は、9時にJP銀行に着くようにホテルを出た。だが今回は大井競馬場の開催期間中連泊するので、前金として12日から16日までの5連泊料金のうち2万5850円を支払った。


 最初に行ったJP銀行では、カードを使って1000万円を入金した。地元とは違うし、旅行中にこういう事態になったので通帳など持っているはずもない。と言う事でカードを使ってATMで、5回に分けて200万円づつ入金した。


 それから受付に行き、手元に現金1000万と100万円以下のばら銭を残し、3800万円をネット銀行の口座に振り込んだ。現金1000万を手元に残したのは多すぎると言う人もいるかも知れないが、座敷童を2人も預かっている身だから、非常用の現金はこれくらい必要だろう。


 あの婆さんに現金を叩き返す状況になるかもしれないし。


 駅前にある大手の電気屋さんの開店時間10時まで時間があったので、近くを見て回ってから中に入った。


「屋外でネットが使えるノートパソコンが欲しいんだが、1番性能のいいものを教えて下さい」


「はい、受け賜わりました、御案内させていただきます」


 俺の服装は、山歩きに行った時の上着のままだ。下着は予備を洗って履き替えているから臭わないと思うが、金を持っているようには見えないだろう。だが少なくとも太郎君と花子ちゃんの着物は、見る人が見れば高価なものだと分かるのだろう。


 高価な着物なんだよな?


「こちらが1番性能のいいノートパソコンになりますが、どのような事に使われるのですか?」


「そうだね、ネットサーフィンをしたり小説を投稿したり、公営ギャンブルのネット投票に使ったりだな」


「そうですか、それでしたらここまで性能のいいノートパソコンでなくても大丈夫は大丈夫ですが?」


「まあでも性能さえ良ければ、今使う気がない事をしようとしたときも、出来る可能性が高いんだよね?」


「はい、それはそうでございます」


「綾香さんも予備で持っていてもらえますか?」


「え? 予備で私も持つのですか?」


「ええ、そうして頂ければ助かります。店員さん、モバイルWiFiルーターの契約をすれば、ここですぐに2台とも使うことも出来るんですよね?」


「はい、それは大丈夫です」


「では設定までここでして下さったら、2台買います。で、いくらにして下さるんですか?」


「これくらいでどうでしょうか?」


「勝也さん、値引きして頂くよりも必要なアクセサリーをサービスして頂く方がいいのではありませんか?」


「アクセサリー?」


「屋外で使われるのなら、バッテリーやUSBメモリーはどうしても必要になると思います」


「そうか、そうだね。ノートパソコンにも必要だろうけど、モバイルWiFiルーターにも必要になるよね。そうそう、綾香さんのスマホや俺の携帯にもあった方がいいから、蓄電量の多いバッテリー6台はサービスして欲しいな」


「え~と、値引きした上に6台もバッテリーをサービスするのは難しいのですが」


「そうか、難しいか、出来ればここで1度にすませたいんだけどな。他の電気屋さんに行ってまた値引き交渉するのは面倒だしね」


「私がスマホで最低価格を調べましょうか? ネットで購入する方法もありますよ?」


「店員さん、悪いけど店長さんから買うと言う事でいいかな? 160万の買い物だし、値引きやサービスも精一杯して欲しんだよね」


 苦手な値引き交渉だったけど、綾香さんの支援と太郎君と花子ちゃんの幸運もあり、2台で159万7968円のノートパソコンのおまけに、容量20000mAhのモバイルバッテリー6台に256GBのUSBメモリーを8つつけてくれた。他にも色々なソフトをつけてくれたのだが、俺にはとても使いこなせそうにない。






「今日は大井競馬場に遊びに行く心算なんですが、近くに子供達が遊べる場所ありますか?」


「そうですね、大井競馬場の隣には品川区民公園がありますから、そこならお子さんたちも目一杯遊べると思いますよ」


「広いんですか?」


「多少細長いですが、大井競馬場を覆うくらい広い公園で、中にはしながわ水族館もあるんですよ」


「それはいいですね、5日間大井競馬場に通う心算なんで、遊ぶ場所が多いにこした事はないんですよ」


「だったら品川区民公園はお勧めですね。割と海に近いので、時折海風を感じる事が出来ますし。公園の真ん中には池がありまして、周囲は木立に囲まれて風情のある公園ですよ。細長い分結構な距離を歩けますので、運動を兼ねた散策にも向いていると思いますよ」


「そうですか、それは楽しみですね」


 俺は店員さんから借りたおもちゃで遊んでいる太郎君と花子ちゃんにチラリと目を向けた。東京競馬場の遊具であれだけ遊んでいたから、運動不足だとは思わないないのだが、2人で激しく遊んでいる。妖怪の運動量としては不足していたのかもしれないな。


「水族館も面白いんですが、池の周りをぐるりと囲むようにハイキングコースとサイクリングコールがあるんです。ユリカモメやカモ、ハト、スズメなどがエサをねだりに近寄って来ますし、お子さん達も鳥達と触れ合えるとおもいますよ。今の季節でしたら、どんぐりや松ぼっくりがあちこちに落ちているので、ちょっと森の中に来た気分になります」


「店員さんよくご存知なんですね」


「私元々品川で生まれ育ったんです」


「そうなんですか、いい所で育たれたんですね」


「はい、私もそう思います。あ、それと、品川区民なら自転車を無料で貸し出ししてくれますので、お子さん達が自転車に乗れるなら、サイクリングコースを思う存分走り回ることも出来るんですが、品川区民じゃないんですよね?」


「残念ながら旅行者で、品川区民じゃないんですよね」


「やっぱりそうですよね、でも児童公園には砂場やすべり台、ターザンロープやちょっとした子供用のアスレチックもありますから、十分楽しめると思いますよ」


「ありがとうございます、今して下さってるノートパソコンの設定が終わったら、直ぐに遊びに行ってみます」


「それでしたら、JRの大井町駅から無料のシャトルバスも出ていますから、ここからでしたらそれを利用されたら便利ですよ」


「そうですか、ではそうさせていただきます」


「あっと忘れていました!」


「何ですか?」


「開催しているかは分からないのですが、しながわ水族館の近くだと平和島競艇場がありますので、大きな音がする事もあるんです」


「そうなんですか? この近くに競艇場もあったんですね」


「はい、大井競馬場に隣接してるとも言えるんですが、あるんですよ」


「時間があれば覗いてみます」






平和島競艇場正門前:11月13日11時30分


「入られないのですか?」


「休みのようですね、開催は15日からのようです」


「遊びたい~」


「花子も遊びたい~」


「そうだね、公園に行ってアスレチックで遊ぼうか」


「はい!」


「遊ぶぅ~」


「花子も遊ぶぅ~」





大井競馬場:13時40分


「ちょっと早かったけど、指定席売り場は並んでるね」


「指定席を買われるのですか?」


「迷ってるんだよね、指定席なら席を確保出来るけど、競馬場内を愉しむなら別に必要ないしなぁ」


「パドックで馬を見られないのですか?」


「無理に馬券を買う必要もなくなったから、ほんとどうしようか?」


「馬みたい~」


「花子も馬を近くでみたい~」


「そっか、う~ん、本当にどうしようかなぁ~」


 俺は指定席の値段表を再確認する。


 太郎君と花子ちゃんが品川区民公園で遊んでいるうちに、買ったばかりのノートパソコンを色々いじって使い方を覚えた。まあ覚えたといっても、ネットを通じて馬券を購入する方法と競馬情報をネットサーフィンするする事なんだが。



「G-FRONT指定席」

席種              通常料金プレミアム料金

3F:プライムルーム(8名様まで) 30,000円    38,000円

3F:プライムボックス(4名様まで)12,000円    16,000円

3F:プライムシート        3,000円     4,000円

2F:ヴィクトリーシート      1,000円     2,000円


「L-WING指定席」

席種              通常料金    プレミアム料金

3F:スターシート         1,500円     2,500円

3F:T-Seat            2,500円     3,500円

3F:スカイシート         2,500円     3,500円

4F:ウイングルームA       15,000円    21,000円

4F:ウイングルームB(8名様まで)17,500円     24,500円

3F:ウイングルームZ(11名様まで)25,000円    35,000円


「ゴンドラシート」

席種              通常料金     プレミアム料金

4号スタンド5階           1,000円     2,000円


「ミリオンシート」

席種              通常料金     プレミアム料金

4号スタンド3階 グループ席     2,000円     不要

4号スタンド3階 ペア席       1,000円      不要


プレミアム料金対象日=6/28(水)帝王賞、11/3(金)JBC、12/29(金)東京大賞典に適用。

上記料金のほかに入場料(お1人様100円)がかかります。


「ダイアモンドターン」

017年11月ブッフェ料理


 ダイアモンドターンか、食べ放題にソフトドリンク飲み放題がついている席なんだよな。4人席だと最低料金が2万円だけど、お金はいいんだ、太郎君と花子ちゃんの御蔭で、金銭面の心配はないんだ。大切なことは、太郎君と花子ちゃんが愉しんでくれる事なんだ!


「お腹空いたぁ~」


「花子もお腹空いたぁ~」


「あの、その、沖縄フェスをやってるそうなんです」


「お姉ちゃんおきなわそば食べたぃ~」


「花子も太郎もおきなわそば食べたい~」


「そっか、そうだな、だったら指定席なんていらないね、フェスをやってるところで愉しもう!」

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