第9話東京競馬場の収支と今までの収支
俺達4人は、パドックで第7競走の馬を見学してからローズガーデンに向かい、整理券が配布される13時20分よりかなり早くについていた。
幸いな事に、先に待っている人は70人程度しかおられず、御蔭で4人だけで1台の馬車に乗り込む事が出来た。
「馬さん元気ぃ~」
「花子これも好きぃ~」
「太郎君も花子ちゃんも、朝に比べて随分ハキハキと喋れるようになりましたね」
「ええ、それは僕も感じていました、僕達に親しんでくれたのかもしれませんね」
「そうだったとしたら、私もうれしいです」
「もっと乗りたい~」
「花子も、もっと乗りたい~」
「太郎君、花子ちゃん、これも1日1回と決まっているんだよ。乗馬と同じで、また乗れる所に行ったら乗せてあげるよ」
「分かったぁ~」
「花子も分かったぁ~」
「じゃあさっきの馬場内に戻って、ミニ新幹線広場に行こう」
「昨日の新幹線に乗るのぉ~」
「花子も新幹線にのるのぉ~」
「昨日乗った新幹線じゃないんだよ、もっともっと小さな新幹線なんだよ」
「小さな新幹線のるぅ~」
「花子も小さな新幹線のるぅ~」
「じゃあ戻る時にまたパドックでお馬さん見ていきましょう」
「いやさっきの競争も勝つことが出来たし、無理に見に行かなくても大丈夫だよ」
「馬見るの好きだよぉ~」
「花子も馬見るの好きだよぉ~」
「そうか、じゃあ途中で寄ってみて、丁度馬がいたら教えて」
「教えてあげるぅ~」
「花子も教えてあげるぅ~」
そうなのだ、無理に馬券を買う必要などなくなっているのだ。馬車を待っている間に第7競走の結果が放送され、また800万円ほど都銀の口座残高が増える結果になっていた。
「第7競走・都銀口座の収支」
単勝 : 14: 470円
複勝 : 14: 220円
: 8: 700円
: 7: 240円
枠連 : 4-7: 1330円
馬連 : 8-14: 4160円
馬単 : 14-8: 12680円
ワイド: 8-14: 1660円
: 7-14: 740円
: 7-8: 2450円
3連複:7-8-14: 10560円
3連単:14-8-7: 49060円
小計:830万7000円
「まだ馬が出て来ていませんね?」
「じゃあこのまま行きましょう」
「いいんですか? 直ぐに出てくるんじゃありませんか?」
「待つよぉ~」
「花子も待つよぉ~」
「でもここで待っていたら、ミニ新幹線の時間が無くなっちゃうから、今回はもう大丈夫だよ」
「そうですか、じゃあ行きましょうか」
「小さな新幹線のるぅ~」
「花子も小さな新幹線のるぅ~」
パドックを素通りした俺達4人は、14時20分過ぎにはJRA-DOMUにあるミニ新幹線乗り場に着く事が出来た。15時までしか運行していないので、なんとか時間内に来る事が出来てほっとした。
近くにはジャングルジムやすべり台など、遊具いっぱいの公園がある。今日はこのままここで、太郎君と花子ちゃんを遊ばせてあげよう。
場内に人が沢山いる間に、7000万円を超える当たり馬券を換金するのは危険だ。いくらタクシーで大井まで移動する心算だとしても、やはり大多数の人が帰ってからの方がいい。昔と同じだとしたら、誰だって込むのは嫌だから、メインの11競走が終われば多くの人が帰り始める。その後で馬場内の投票所で換金して、地下道を通って南門の方に出て、そこからタクシーを呼ぶのが1番安全だろう。
「こんな子初めてみたぁ~」
「花子もこの子初めてみるぅ~」
「太郎君も花子ちゃんもア○パ○マンを初めてみるの?」
「うん初めてぇ~」
「花子も初めてだよぉ~」
4人でミニ新幹線を乗った後は、公園内で遊んでいたのだが、人気のキャラクター石像が置かれていた。自分達の背丈より高い石像を見た太郎君と花子ちゃんは、どうやら自分達と同じ妖怪の一種だと思ったようで、しきりに撫でさすっていた。
「もうラーメン食べなくていいんですか?」
「いいんですか?」
「ええ、僕はここで2人と遊んでいますから、綾香さんはこれで食べて来て下さい」
「でも、そんな」
1万円札を渡そうとする俺に、綾香さんは躊躇していた。
「早く行かないと、食べていないラーメンが売り切れてしまいますよ」
「はい、ではさっき言って下さっていたように、遠慮せずに食べに行かせていただきますね」
「はい、遠慮などしないでください」
大井競馬場近くのシティホテル
「3人とも大丈夫ですか? つかれていませんか?」
「大丈夫です、少し食べ過ぎて苦しいくらいです」
「お腹空いたぁ~」
「花子もお腹空いたぁ~」
「2人とももうお腹が空いたの?」
「う~んとね、半分空いたぁ~」」
「花子も半分空いたぁ~」
「じゃあ少し休んでから食べに行こうか?」
「私は何時でも構いません、でもあまり食べれないと思います。ですから勝也さんも太郎君も花子ちゃんも、遠慮せずに食べて下さい。私も遠慮せずにラーメン食べさせて頂きましたから」
「遠慮せず食べるぅ~」
「花子も遠慮せず食べるぅ~」
「そうだね、みんな遠慮せずに食べようね。僕はネット競馬の投票で調べたい事があるから、3人は先にお風呂入りますか?」
「入るぅ~」
「花子も入るぅ~」
「おじゃちゃんお姉ちゃんと入りたい~」
「お姉ちゃんもおじちゃんと入りたい~」
「そうか、そうだね、おじちゃんは綾香お姉ちゃんと一緒にお風呂に入りたいから、太郎君と花子ちゃんは先に2人でお風呂に入ってくれるかな」
「勝也さん、私となんかと一緒に入りたいと言って下さって、ありがとうございます」
「花子と一緒に入るぅ~」
「太郎と一緒に入るぅ~」
太郎君と花子ちゃんが一緒にお風呂に入って行った。
綾香さんは、少し涙ぐみながら嬉しそうに微笑んでくれている。
こんなに若くて綺麗な女性が、俺のような初老のブ男と一緒に居て喜んでくれる。よほど辛い人生を歩んで来たのかもしれないし、直近に辛い事があったのかもしれない。こんな糞オヤジでもいいのなら、綾香さんの傷が癒えるまで側にいさせて欲しいものだ。
「タクシーの運ちゃんはいいホテルを教えてくれましたね」
「はい勝也さん、大井競馬場の近くで、子供達のベットと朝食ビュッフェもついて4人で2万5850円は安いと思います」
「元々フォーベッドの部屋のようですし、羽田空港も近いので家族連れの宿泊も多いのかもしれませんね」
「はい、確かにそうかもしれませんね」
「まあタクシーの運ちゃんも、片道1万2730円は美味しかったでしょうし、時間もそれなりにかかりましたから、こちらの質問を本部に問い合わす時間もありましたからね」
「そうですね、タクシー本部なら色々情報を持っているのかも知れませんね。調べ物はいいのですか?」
「ああ、ほぼ分かりました。今から手続きするところです」
「タクシーで言われていた携帯からの競馬投票ですか?」
「ええ、運ちゃんも直ぐに分かったのだと思いますよ。何といっても東京競馬場前から乗って、大井競馬場直近のホテルを教えてくれと言ったんですから」
「それで競馬の話題になったのですね」
「運ちゃん携帯から馬券を買っていると言っていましたから、色々と教えてくれました」
「でも今日も携帯から買っておられましたよね?」
「ええ、でもあれは昔々に契約したものなんで、口座が都銀になっているんですよ」
「都銀では駄目なのですか?」
「駄目と言う事はないのですが、でも出来れば地方競馬と同じネット銀行の口座にしたかったのですよ」
「何故なのですか?」
「ネット銀行とカードの会社が同じ系列なんで、ネットからカードの引き落とし口座を変更するのが簡単なのですよ」
「今日競馬で勝ったお金も、カードのネット口座に入れておきたいのですね?」
「はい、でも今日の分は無理です。今日換金したお金は、明日早々に入金する心算ではあるのですが、それでもカードの口座は競馬で勝てる口座にしておきたいのです」
「よくは分かりませんが、その方が便利なのですね」
「僕もよくは分かってないんですが、便利なような気がするだけです」
「まぁ、そうなんですね」
「ええ、おっさんには難しいです」
ホテル近くのベトナム料理屋
「う~ん、う~ん、どうしようかな?」
「私は勝也さんにお任せしますが、食べ切れないかもしれません。でもファーは食べてみたいです!」
「たくさん食べるよぉ~」
「花子もたくさん食べるよぉ~」
「う~ん、う~ん、決めかねた時は無難に1番高いコースを頼むんだけど」
「9品コース3700円」
えびせん
ベトナム風ヤムウンセン
アボカドの生春巻き
空芯菜のにんにく炒め
ソフトシェルクラブの唐揚げ
いかとホタテの海鮮揚げ春巻き
アスパラの牛肉巻
自家製鶏のフォーSS
デザート
「10品コース4700円」
えびせん
サラダ・ボー(牛肉のサラダ)
ソフトシェルクラブとマンゴーの生春巻き
ベトナム風えびのすり身
いか・えびフリッター
煮込みスペアリブ
鶏のおこげご飯
自家製鶏のフォーSS
デザート
ベトナムコーヒー
「何を悩んでおられるのですか?」
「ソフトシェルクラブの唐揚げは食べたいんですけど、10品コースには入っていないんですよ」
「では10品コースにソフトシェルクラブの唐揚げを追加されてはいかがですか? 私は食べ切れないと思いますので、残してしまうと思いますが」
「お姉ちゃん鶏肉のフォー食べたい~」
「お姉ちゃん牛肉のフォー食べたい~」
「あ!」
「決めました! 太郎君も花子ちゃんもこれを見て食べたい物を全部頼んでいいよ」
「あの、すみません勝也さん、あの」
「いいんですよ、食べ切れなかったら半分づつ食べましょう」
「ご注文でしょうか?」
「鶏肉のフォーSが1つ、牛肉のフォーSが1つ、ソフトシェルクラブの唐揚げが4つ、特製スペアリブが4つ、エビの生春巻きが4つ、チキンの生春巻きが4つ、海鮮たっぷり揚春巻きが4つ、取りあえず以上をお願いします。それとフォーの取り皿を4つお願いします」
「受け賜わりました、注文を繰り返させていただきます。鶏肉のフォーSが1つ、牛肉のフォーSが1つ、ソフトシェルクラブの唐揚げが4つ、特製スペアリブが4つ、エビの生春巻きが4つ、チキンの生春巻きが4つ、海鮮たっぷり揚春巻きが4つにフォーの取り皿が4つでございますね」
「はい、太郎君と花子ちゃんは他に何を頼む?」
「それでいいよぉ~」
「花子もそれでいいよぉ~」
綾香さんは、流石にフォーを半分づつ食べた所で満腹だとギブアップされた。俺もそれほど麺類が好きではないので、綾香さんが食べなかった春巻きやソフトシェルクラブの唐揚げを食べて満腹になった。
昨日と今日の朝食昼食とあれだけ食べていた太郎君と花子ちゃんだが、追加の料理をいくら勧めても注文しなかった。今までが食べ過ぎていたと言う可能性もあれば、ベトナム料理が合わないと言う可能性もある。まあこの子達なら、深夜でもお腹が空けば遠慮せずに素直に話してくれるだろう。そうなったらコンビニにでも行けばいいし、無理にここで追加注文する必要もない。
「ではデザートにしましょうか、綾香さんは何を食べられますか?」
「私はピーナッツバナナ揚げとココナッツアイスを乗せたチェーに蓮茶を頂きます」
あ、やっぱりデザートは別腹だったのですね。
「同じもの食べるぅ~」
「花子も同じもの食べるぅ~」
「では僕も同じ物を頂きましょう」
結局4人で食べて1万6383円となった。
コース料理とどちらが損とか得とか比べれるものではないが、決められた料理ではなく、好きな料理だけ食べることが出来るのだから、この方が俺の好みにはあっている。
ポイントを考えればカードで支払うべきなのだろうが、今は怖いくらい現金を持っている。だからここの支払いも、少しでも現金を減らす為に現金払いにしよう。
座敷童の太郎君と花子ちゃんが一緒にいてくれるし、幸運が山盛りやって来ているのは昨日今日でよく分かった。これでお金を落としたリ、強盗にお金を奪われることなどありえない。そんな事は頭では十分理解している、理解はしているが怖いのはどうしようもない。僅かな金額でも現金を減らしたくなるのは、ずっと庶民生活をしてきたのだがら仕方がないのだ。
「じゃあホテルに帰りましょうか」
「はい、そうしましょう」
「お姉ちゃんおじちゃんと寝たい~」
「おじゃちゃんもお姉ちゃんと寝たい~」
「あ!」
「太郎君、花子ちゃん、そう言う事は人前で言っちゃ駄目なんだよ」
「駄目なのぉ~」
「駄目なのぉ~」
「うん、駄目なんだよ、お姉ちゃん恥ずかしがっているだろ」
「お姉ちゃん恥ずかしぃ~」
「おじちゃん嬉しぃ~」
「うん、だからお姉ちゃんの為にも、そう言う事は部屋でだけで話そうな」
「分かったぁ~」
「花子も分かったぁ~」
「財布の現金」1000万はリュックサックの中
11/11
ホルモン煮 : 2000円:
ジャンボ焼き鳥: 1600円:
水沢競馬場 : : 24660円
勝カレー : 700円:
中華ざる : 500円:
ラーメン : 500円:
交通費 : 560円:
11/12
タクシー代 : 730円:
JRA競馬場
共通入場回数券: 1000円:
(6/8)
第1競走 : :4298万0000円
第2競走 : : 524万8000円
ラーメン7杯 : 5600円:
カレー2種ナン: 790円:
タクシー代 : 1万2730円:
ベトナム料理 : 1万6383円:
「カードを利用したネット銀行の入出金」
11/11
水沢競馬場 : : 286250円
タクシー代 : 1450円:
交通費 : 39180円:
回転寿司 : 18792円:
ビジネスホテル: 11500円:
タクシー代 : 420円:
「JRAネット投票用の都銀口座入出金」
11/12
第1競走 : :4419万9000円:
第2競走 : : 524万8000円:
第3競走 : : 37万2000円
第5競走 : :1959万3000円
第7競走 : : 830万7000円
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