第25話資金移動

「一朗君、2kg分の金貨をこちらに輸送してもらう為にドローンを買ったわ」


「ありがとうございます、費用は金貨から差し引いて下さい」


「分かったわ、金の売値は1g4850円前後で銀の買値は1g67円前後になると思う」


「1度に送れる2kgの金貨で、970万円前後になるんですね?」


「そうね、それくらいになるわ。こちらで銀を買って送るよりは、胡椒なんかを送った方が効率がいいわね」


「はい、でもあまり大量に売り出すと値崩れを起こしませんか?」


「その可能性はあるけど、白胡椒・赤胡椒・青胡椒と段階的に売り出して、高価格を維持しなさい」


「分かりました、ですがそれでも値崩れした時は、銀を送って頂くことになります」


「分かっているわ、金の売買利益でオーダーメイドのドローンを購入するわ。1機300万円くらいかかるけど、38kgの輸送力があるから、それなりの蓄電池と太陽発電パネルを送る事ができるわ」


「ありがとうございます、明日ドローンが到着次第、金貨を送ります」


「それと万が一ドローン配送ができなくなった時の事を考えて、椎茸の種駒を購入しておきなさい」


「そうですね、こちらで椎茸の人工栽培ができれば、最悪でも特産品は確保できますね」


「銀と同じ重さで売る事ができる特産品が確保できれば、一朗君や家族も生きていれるわよ」


椎茸種駒800個:3210円×100個=32万1000円


 姉ちゃんは大学院での学業に忙しい中で時間をやりくりしてくれて、俺が失踪した近くまでドローンをもって日帰り旅行をしてくれた。こちらにドローンを送る時には2kgの赤胡椒を運ばせてくれた、もちろん俺がドローンに充電して送り返す時には、金貨2kgを運ばせた。


 異世界の金貨を換金するのは色々危険が伴うかもしれないが、最年少で司法試験を合格し司法研修期間を終えた姉ちゃんの事だ、法を犯す事無く上手くやってくれるはずだ。医師国家試験と国家公務員の大学院卒者対象の総合職試験に悪影響が出なければいいのだが、俺も命がかかっているから、姉ちゃんに頼るしかない。


 異世界でドローンに充電する時間と、姉ちゃんが失踪地点近くにいられる時間に限りがあるため、今回は1往復しか出来なかった。次に何時姉ちゃんの都合がつくか分からないが、その時には38kg分の往復輸送が可能だと思う。俺がもっと社交的で友人が多ければ、毎日物資や金銀の往復輸送が可能なのだろうが、俺には姉ちゃん以外に頼れる人がいない。


 だが異世界では、画面を使って家事奴隷に命令を下せるようになってきた。幼女だが、ビアンカとは普通に話すことができる。ビアンカを通じてローゼンミュラー家とも上手く付き合えるようにして、姉ちゃんに負担を減らしたい!

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