第126話 生きるは死・死は生きる

「あそこ、開かないだろ?…前に友希と正木で色々叩いたりしたけど、びくともしなかったよ!」


波は再び考えた。


皆、頭を捻らせたものの、一行に意見が出ない。


里奈が意を決して言った。


「まだあるよ…1つだけ行ってない所」


明日香は尋ねた。


「どこ?」


里奈は少し間を置き言った。


「300年前、少女が教室で自殺した、内らの本当の隣の教室」


杏子は微妙な表情を浮かべた。


「で…でもあそこ、壁で埋められてて入れないよ。」


里奈は辺りを見渡し言った。


「壁を何かで叩いて壊せれば、入れる。


ファイルには立ち入るなと、書かれてた。


多分、当時のまんまであるはず」


章はやはり少しびびって、腰が抜けていた。


「立ち入るなって、入らない方が良いんじゃない?」


明日香は顔を強張らせ、怒鳴りつけるように言った。


「行かなかったらどうするの?このまま黙って殺されるだけだよ?男のくせにビビりすぎ」


章は怖がりながらも言い返した。


「びびってねーよ!


分かった、なら行くよ。」


教室から出て、周りを警戒し、周囲を確認しながら歩く5人。


自殺のあった教室に向かった。


その頃、霊子は体育館にいた。


物静かな中、張り詰めた空気が張られた。


霊子は、体育館の2階に向かった。


しかし、人の気配はない。


降りて再び、1階の体育館のステージの入り口ドアを開け入る。


しかし、物音1つしない。


霊子はドアを開き、後にした。


廊下に出て獲物を探し、次は2階に向かった。


しかし、気配がない。


3階に上がると、開かずの間の直ぐ近くの教室の戸が、開いていた。


霊子はそのまま入ると、人は見当たらない。


掃除ロッカーを開けると、柚木がいた。


「れ…霊子…その血どうしたの?怪我してるの?」


柚木は霊子の右手を見た。


そこには、白銀に光る鎌が握られていた。


柚木にはもう分かっていた。


誰が殺人をしているか、でも、あえて霊子の味方のふりをし、気づかないふりもした。


「その鎌、吉沢先生を追っ払う為に拝借してきたの?私も何か武器になるものないと危ないよね?」


霊子は口元が笑った。


「柚木ぃ、本当は気づいてるんでしょ?私が殺したって、知らないふりなんてずるいなぁ~、私を殺したくせに」


柚木は霊子の言葉と共に、全速力で逃げた。


その時に、ズシンと重たい衝撃が走った。


だが、気にも止めず逃げた。


後ろを振り返ると、霊子は物凄い速さで追いかけて来た。

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