第123話 生きるは死・死は生きる
霊子は次の獲物を探し、校内を徘徊していた。
自分のクラスの割れた窓から、逃げる男子生徒に気がついた。
霊子は、その姿を見て後をつけた。
「み~つけた。」
霊子も窓から出ようと、窓の淵を掴むと、ガラスの破片で平手が切れた。
血が垂れてくる前に、啜るように口につけ、血を舐めた。
木に囲まれた、一本道を進んで行った。
霊子も気付かれないよう、身を隠し追いかけた。
グランドにつくと、彼は嘆くように言った。
「何だ?これ…木が血を垂らして、周りも木以外見えねぇ…そもそも、学校で先生は吉沢先生しか見てない。
生徒は俺らのクラスしか見てない…何で?」
足音がした。
音の方へ振り向くと、霊子がいた。
藁にもすがる思いで、霊子に駆け寄った。
顔が見えた真だ。
両手で霊子の両肩に掴みかかり、震えながら話した。
「こ…こ…ここやべーよ…なんかおかしいって、他の生徒も見ないし、逃げよーぜ!」
霊子は無言のまま。
「おい、何とか言ったらどうだ。」
雨が降る。
雨にしては、重い。
手の平に落ちた雨を見ると、赤い色。
まるで血、見たいだ。
「何だこれ?…何で血が降るんだ!」
血溜まりが出来た。
霊子はやっと、真の前で表情を表した。
不気味な雨の中、霊子の口の中は赤い色が付いていた。
直感的に、血の雨が口に付いたわけじゃなく、最初から血が付いていた事だと思った。
真は恐ろしくなり、叫びをあげ逃げた。
霊子は再び歩いた。
ゆっくり追いかけた。
体中に恐怖が染み付くように。
真は玄関まで、走って逃げた。
後ろを振り返ると、霊子はいない。
安堵し、思考が回り始めて、誰かと合流しようと思い、前を振り返ると霊子が右手に鎌を持っていた。
真は、動く間もなかった。
「ひ…ひぃ」
スパン。
鎌を首目掛け切り落とされた。
首から、大量の血が噴き出した。
霊子は口を当て、水分を補給するように血を飲んだ。
「美味い。あぁ、血が欲しい…里奈の血はもっと美味いんでしょう!あぁぁぁぁぁ…ふふふ」
ガタンと音が鳴った。
霊子は音の方へ向かった。
そこには、職員トイレがあった。
ギイィィィィィと扉を開けた。
人の姿はない。
だが、トイレの個室に鍵がかかっている。
霊子はトイレの入り口の戸を開け、出た振りをした。
すると、トイレの個室の鍵が外れた。
戸が開き、顔を出した。
潤の顔と目があった。
霊子は、すかさず鎌を振り下ろした。
しかし、咄嗟に戸を閉められた。
トイレの個室を、ガンガン鎌で叩き続けた。
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