第94話 あの日の始まり

ホームルームが終わり、吉沢先生が教室から出て行った。


その途端に生徒達は、心の声が溢れ出るように言った。


吉沢が殺したんだろ。


犯人は先生しかいねぇ。


でも、霊子も怪しい。


霊子来てから、学校でこう言うの起きるようになったよね。


さっきの発言聞いた?


吉沢先生の言葉、絶対霊子と親密な関係にあるよ。


里奈がみんなに怒ろうとした途端、意外にも最初に怒鳴り声をあげたのは、友希だった。


「お前らなぁ、何でそんな酷い事を言えるんだ?


霊子だって被害者だぞ!よく考えてから発言しろ。」


正木は友希の男気に微笑んだ。


「やっぱ、俺の親友だな友希は、安心しろ俺達は霊子の味方だから!」


霊子の胸にナイフでも刺さったような気持ちだった。


やめて。


私は貴方達を殺すの。


優しい言葉なんて、聞きたくない。


塞ぎ込む霊子。


殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺。


私が今生きている理由は、殺人なの。


心も私自身も、殺すつもりで今ここにいるの。


だから、貴方達は殺したくなる。


口元が緩んだ。


「みんなは犯人を推測で言っているけど、犯人が分かったらどうするつもり?…捕まえる?…それとも殺す?…ふふ…」


横で霊子を見ていた里奈は、信じられなかった。


霊子の禍々しい迄の、怨念じみた言葉を。

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