第58話 復讐の冷血

授業が終わり、教室に戻った。


里奈は教室に戻るなり、霊子に話しかける。


はっきりと喋るが、隣にいる人がぎりぎり聞こえる程、小さな声で話していた。


やはり、里奈は特に仲の良い人以外には、話す気は無いようだ。


「この間の、吉沢先生の写真は、結局分からずじまいだよね。」


霊子は、写真の事を考える気持ちにはなれなかった。


いつまでも無視出来ない話ではあるが、あれから理枝達が見えない。


やはり、自分が殺したんだろうか?


もし自分が殺しているなら、次の日に見に行った時、何かしら自分が殺したと証拠はあるはずと考えでいたが、証拠どころか髪の毛一本落ちていない。


やっぱり考え過ぎだ。


2つの考えが、交互に襲ってくる。


「はい。どうすればわかりますかね?」


正木が霊子の席に来た。


「もしかしたら、分かるかも知れないよ?」


霊子は正木の期待通りの驚く振りをした。


殺人がもし自分なら、周りの人達は恐らく二度と関わろうとしない。


今は他の事を考えたくない。


「え、どう言う事ですか?」


里奈は閃いたように喋る。


「そっかぁ、もう学園祭時期かぁ!」


「学園祭?そういえばあの写真も学園祭と書かれていましたね。」


正木は理枝達の事は知らない。


霊子が写真の事で怖がってると思い、励ますつもりで言った。


「準備期間は明日からなんだ。


だから、みんな放課後から準備する為に、校内にはみんないるから安心だよ。」



独り言を呟くと、里奈はやたらと反応した。


「みんないるなら安心だけど、1人にならないようにしないとね!霊子。」


ぼーっとしていた霊子は返事が遅れた。


こくりと頷きながらも、目線は里奈ではない。


里奈は霊子の目線の先を追うように見る。


そこには、吉沢先生がいた。


教室に吉沢先生が入ってくるなり、みんなを席に着かせた。

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