第54話 復讐の冷血

霊子の側に、常に人見が居る。


友達と言うよりも、執事に近い。


「今日の1時間目は、体育です。」


横に居る人見に笑顔を向ける。


「じゃあ、着替えに行きましょう。」


霊子の美しいは、威光を放っていると思わせる程、美しい。


「はい。霊子様、荷物持ちます。」


「大丈夫ですよ。」


少し残念そうにする人見。


常に霊子の、役に立ちたい気持ちが先立つ。


更衣室で着替え、体育館に向かう2人。


後ろから、廊下に響く程の声が後方から聞こえる。


里奈だ。


走って2人に駆け寄る。


「待ってよー、2人共!」


後ろを振り返り、里奈に声をかける。


「先に行ってたかと思いました。」


息を深く着きながら答える。


「トイレに行ってたから」


「そうだったんですね。」


里奈は霊子に甘えるように抱きつく。


「私が置いていく訳無いじゃん。」


霊子は里奈を見つめ小さく微笑む。


人見は里奈が、トイレに行く所を見て知っていたが、里奈と霊子を接触させたくなかった。


その為に、早めに霊子に行くよう促した。


歩いていると、廊下の真ん中に右に曲がり角があり曲って真っ直ぐ行くと、奥に体育館がある。


廊下の中心の反対側は、壁だが人見が語り始めた。


「霊子様、学校が元々十字架の形で出来ていたのは、ご存知でしたか?」

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