第37話 1人目

強い口調でしわを寄せ、問いかける。


「今の話に、霊子ちゃんの記憶喪失の何の関係があるんだよ!」


正木は友達思いで、傷ついているのが虫でも、助けるような男だ。


今、このタイミングで霊子の話をするのは、原因が霊子にある、そう聞こえてならなかった。


正木の言い方で、何を考えている事かわかった。


この奇妙な状況を打破するには、霊子の話が1番いい選択で、全てを話さなければ進展しない事は明白だった。


それと同時に、霊子を傷つける事になる事に、目をそらす自分がいた。


だから、霊子を守る為でもあるそう言い聞かせてた分、正木の言葉が胸が刺さった。


言い返すように、声をあげた。


「親友の悲しい話を、好きで話すと思う?それだけやばい状況なの察しなさいよ。」


正木も言い返そうと立ち上がると、間に瑠璃が入って止めた。


「2人とも言いたい事は分かるけど、今そんな状況じゃないから、一刻も早く、私達が見た写真をみんな見せたいから、喧嘩はやめて!」


瑠璃の姿に、友希、波、京子も2人をなだめるように言葉をかけた。


友希は正木の裾ら辺を掴み宥める。


「ほら、正木も落ち着けよ。」


里奈の怒る顔を滅多に見ない分、京子達も瑠璃に続くようにしか、言葉が言えなかった。

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