第27話 1人目

「ごめんね、ごめんね。」


「気にしてません。友達ですから」


霊子の温かい言葉に、安堵した京子。


暫くの間に談笑していると、霊子にぶつかり鬼の形相で睨み、今にも噛みつきそうな金髪の少女。


「痛ってーな、気をつけろ。」


強い口調で言い放った。


霊子は行成の事でおどおどと、両手を顔付近まで持って行き、震えている。


京子は霊子を庇う様に、金髪の少女前に立つ。


「あんたから、ぶつかって来たんでしょ?」


教室に居た人達は、金髪少女と京子に注目が集まる。


京子に賛同するように、波は突き放すように冷たく口を開いた。


「霊子が人気あるからって、突っかからないでくれる?凄く迷惑だから!」


更に怒りを込み上げ、教室全体に響き渡る程の怒号。


「こいつが調子に乗ってるから、苛々するんだよ!」


霊子を指して京子に言った。


すると、茶髪と黒髮の少女が入ってくる。


2人は金髪の少女の後ろに行き、まるで取り巻きのようだ。


茶髪の少女が、金髪の少女に肩に手を置き、覆いかぶさるように体を預けた。


「何?理枝喧嘩?」


理枝は茶髪の少女に顔を向け、したり顔で言った。


「こいつらが、一々うぜーんだよ。彩からも言ってくれよ。」


彩は霊子に、冷淡な表情で見続けた。


「面倒いから、もう行こう。」


少し納得のいかない彩だったが、その場の空気に耐えられなくなり、彩と黒髮の少女に声をかけた。


「分かったよ。・・・夏希も加われよ。」


「彩が面倒い、って言うから」


3人は教室から去っていく。


他の生徒達は、普段から金髪の少女達のあまり良く思ってない。


評判は最悪で、虐められた人達も数名いる。


だから霊子を庇う者は少なく、どちらかと言えば金髪の少女のグループと関わりたくない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る