第18話 1人目

京子はさっきの今で、この開かずの間に興味を持った事に、悍ましさを感じてた。


どこの学校も、七不思議なら何処にでもある。


噂が1人歩きする事は、何ら珍しくはない。


大抵は他の生徒を驚かす目的で噂を流し、それが繰り返され、いつしか誰が言い出したかわからなくなり、話だけが学校を漂うのが現状だ。


しかし、この先の向こうは明らかに噂だけではなく、地獄とこの扉は繋がってても、納得してしまう程の異質な物だった。


皆が楽しむのは何処かドッキリ感覚で、本当に遺体や幽霊が出たとしたら、悲鳴をあげるか真っ先に逃げ出すだろう。


だが、霊子には全くの逆だった。


その笑みには、狂気が隠されていると思う時が京子にはあった。


友達を疑う気持ちは、あまりいいもんじゃない。


押し殺してた心が、横にいる霊子を見て再び、抑えてた疑問が蘇ったのだ。


「こ、ここは、曰く付きの部屋だから、あまり詮索しない方が良いよ!」


言葉が上手く出せない。


「そうですか。残念です。」


波は京子の様子が、いつもみたいに元気がない事に気づき、顔を覗き込んだ。


「京子?」


前方にいる里奈や瑠璃は、霊子と話していて気づかない。


「私達、ちょっとトイレに行ってくるね!」


波がさりげなく言った。


瑠璃達は、後ろを振り返りながら返事をした。


「うん、わかった。私達は此処にいるね。」


トイレに入り、尋ねた。


「どうしたの?京子、何かあった?」


背を丸くし少し怯えたのか、縮こまりながら言った。


「霊子って、何者なの?」


波には、言葉の意味がわからなかった。


「どうゆう意味?」


手が小刻みに震えていた。


「音楽室の時、何も感じなかったの?」


自分も感じていた。


言って良いのかわからなかったが、京子にだけは言う事にした。


「あの、悲しい演奏が不気味だった事?」


大きく何回も頷いた。

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