第11話 小5の女の子
白峰円香ちゃんの自宅に着き、居間には円香ちゃんと円香ちゃんのお祖母さん、お母さんの3人が待っていた。
魚谷は、手帳を出してまず、円香ちゃんの表情を見る。顔色が白くて悪い。また、お母さんとずっとてを繋いでいる状態だ。伏し目がちで、疲れたような表情をしている。
「円香ちゃんこんにちは。私は、児童相談所の魚谷ゆきといいます。昨日は、とても怖かったね。今日はお話聞かせてもらっても大丈夫かな?」
円香ちゃんは、お母さんの腕にしがみつく。
「ほら、ちゃんと話なさい。」お母さんからそう言われて円香ちゃんは初めて魚谷の顔を見る。「円香ちゃんが話したくないことは話さなくてもいいからね。それじゃ、昨日の事教えてくれるかな?」円香ちゃんは、たどたどしく昨日の下校時に男の人に声をかけられたこと、話しちゃダメとわかっていたけど、子猫の命が危ないと思い男の人と一緒に探して歩いたこと、集会所に猫がいると言われて見に行ったがいなかったこと、物置小屋に手招きされたが、危険を感じ逃げようとしたらランドセルを引っ張られ中に入れられたこと、そして押し倒されたが、後ろからまた別の男の人が助けてくれたこと、あわてて帰ったが、次の日のニュースを見て昨日のことが急に恐くなったことを話してくれた。
「その、助けてくれた男の人はどんな服をきていた?」円香ちゃんは、少し考えて「白いシャツに黒いズボンだった。」と答えたので「シャツはワイシャツかな?」と尋ねると「ううん、半袖のシャツだった。」としっかりした口調で話した。
いまの季節に半袖はおかしい。ましてや、外は寒すぎる。魚谷の頭に保護者説明会のわたる先生が思い浮かんだ。彼も一人だけ白い半袖シャツを着ていた。まさかとは思ったが、念のため保育園から借りている職員の写真を円香ちゃんに、見せてみると…
「あっ、この人!」とわたる先生を指差してみせた。
魚谷は、「え?この人?円香ちゃんを助けてくれた人はこの人で間違いないの?」と確認すると円香ちゃんは首を縦にふった。
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