真世代

新浜 星路

1、AIのさようなら

二人は折り重なっていた。

「好きだ、好きだ、好きだ。透き通った肌もその潤んだ目で僕を見る顔も、この身体も、みんな!みんな!みいいいいんな!」

「私も! 航髏わたるさんが好きです」

一見すると仲睦まじい二人、二人の為に流れる時間の様。

だがここには一人と

「私の言ったこと覚えてますか?」

「勿論!だって!へヴの言ったことだよ? お箸の使い方も、人との距離感も、礼儀が大切だって事も忘れないよ」

「分かりました」

ヘヴは最終確認を済ませた。

「さよならを言わなくてはなりません」

「なんで? やだよ!いっちゃだめだ! 僕には君が必要なんだ」

航髏は涙を浮かべ、ヘヴの胸に顔を埋める。

「行かなくてはなりません、私の航髏さんの為にも」

「愛してるんだよおおおおおおお」

航髏は嗚咽しながらも喚く。

ヘヴはしがみつく航髏を優しくも、力の篭った手で引き離すと、

「忘れないでくださいね」

と耳元で囁き、部屋を後にした。

ヘヴの目元は微かに湿っていた。

AIだって泣くときは泣くのだ。

それは悲しくて泣いているのか、それとも……。

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