【ふ】

 振り向いてくれないのは

 誰かが待っているから

 それを承知しているから

 分かって一緒にいるけれど


 少しずつ塵が積もるように

 辛くなっていくこの行き場のない思いは

 振り向いてくれないあなたに

 投げてはいけない


 誰かが待っているから

 それを承知しているから


 友達の幸せそうな顔を横目で見ながら

 私は先の見えない闇の中へ

 少しずつ足を進めていく


 誰かが待っているから

 それを承知しているから


 二人で歩いているのは

 かりそめの時間

 優しく心地よいあなたの手は

 どうして最初から私のものじゃないのだろう


 誰かが待っているから

 それを承知しているから


 あなたには帰る場所がある

 私にはあなただけ


 振り向いてくれないあなたに

 投げてはいけないこの思いを

 どこに放り出せばいいだろう


 暗い暗いこの道の先に

 幸せはきっとないのだろう





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