ぽえむ、よせあつめ

しいな らん

ぽえむ

 ゴミ箱に捨ててあった砂漠の町の

 銀幕の上の使徒と パンとスープと裁かれる少女

 彼女は娼婦で 全知全能の神で

 この世の事は何も知らず怯えている

 哀れむ僕は真っ白な涙を流す


2013-05-14


■極彩色の地獄の中で


 波々そそがれたウイスキーの

 グラス越しに見る君の姿

 娼婦の微笑は濡れたガーベラの香り

 なにからなにまで琥珀色に染まって

 緑色の目をした猫が笑い、灰色のドレスを纏い、黄色い花は枯れ、赤色の神経質な集中線の中、紫の夜明けの下、真っ白に僕は発狂する



 僕には腕が無いから

 優しく抱いてあげられない


 僕には足が無いから

 どんな時でも間に合わない


 君には夢が無いから

 僕の言葉は届かない


 君には何もないから

 誰の言葉も届かない


■いのせんと


 紫の夜空の下

 シンメトリーに二人

 僕のこれと君のそれ

 狂ったリンゴは誰の夢?


 悪い人だね 期待をさせて

 愛しているよ さあ舐めてくれ

 吸い尽くしてよ 僕の罪ごと

 何をためらう これは夢なの

 私はきっと 変わらないから


 悪い夢を大事に抱え

 可愛い嘘で着飾って

 その目には何が見える

 

 紫色のあの空は

 何かの言い訳みたい


■キュート

「キュート」


 外は快晴

 僕らは二人

 タールにまみれた毛布に包まり

 夢見る夢を見続ける


 可憐でケレンな横顔は

 キュート キュート キュート

 そこにいて ここにいない

 絵画のような寝姿は

 キュート キュート キュート


◆「花咲く頃に」歌詞


花咲く頃に手を繋いだ 伝わる温かさそれは

愛でも恋でも無くて 本当の気持ちなんだろう


孤独に咲く花はいつでも 僕の心で凪いでいる

眠れずに叫ぶように真っ白に燃えている



ふわり揺れる綺麗な花 極彩色で着飾ってる

僕に教えてくれないか バラバラに散っていく前に


忘れられた花はいつでも 君の心に咲いている

枯れずに遊ぶように 寂しそうに揺れている


花咲く頃に夢を見てた 二人きりで夢見ていた

毒も薬もいらないのどうか二人に夢見させて


◆「祈り」


一人の少女がおりました

孤独と絶望に生まれました

それでも人の愛を知り

恩返ししようと決めました


少女が娼婦にキスをする

頑張りましたねとキスをする

娼婦は少女とじゃれあって

子供の頃を思い出す


発狂した野良猫に

少女は腕を噛みつかせる

野生の力が誇らしく

野良猫は静かに目を閉じる


夢に破れた青年に

少女は優しくハグをする

きっと人類の行く末は

明るい筈だよと励ました


心の壊れた兵隊は

花を探して彷徨った

少女は優しい歌声で

故郷の歌をプレゼント


頭の弾けた女の子

少女は内蔵掻き集め

死体の背中に羽を描く

少しでも高く飛べるように


少女は地獄に花を撒く

ほんの少しでも癒えるように

楽しい香りが風に舞い

血に濡れた花弁は美しく

苦しみの最中で人たちは

心で静かに微笑んだ

どんな暗闇の日々でさえ

この光景を忘れない


少女が大人に変わる時

少女が少女を捨てる時

どこまでも深く落ちていき

どんな悲しみの中でさえ

彼女はいつでも暖かな

祈りに優しく抱かれている


彼女に恋する少年は

この世を儚み自殺した

彼の涙は街に降り

少女はそれに気づかない


少女は鏡と向き合って

いままでどうもと呟いて

それじゃサヨナラと手を振って

楽しかったねと微笑んだ


彼女も地獄に落ちるけど

みんな彼女を忘れない

彼女も地獄に落ちるけど

みんな彼女を愛してる


それでも人生は続く

こんな冷酷な世界だが

悪意で作られたわけじゃない

確かにこの世に愛はある

それに気づくのはいつの日か

その日まで私は祈ります




  綺麗な色が見たくてミミズクはさまよう

 いつもの夜はもうない

街の歌は汚れていない


 赤は女

 青は男

 私は紫


 純潔は夢の跡

 あの人は夢の中


 雪の夜

 愛が溶けずに


 パンクな朝

 注射器の純潔

 白濁したミルク


 文盲の少女

 紫は読めない


 伽藍の底に

 めくるめく希望


 紙ねんどとビタミン剤


 空のココアシガレット

 

 初めの朝

 静かな白い淵


 AtoZ💜


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ぽえむ、よせあつめ しいな らん @satori_arai

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