王女は鏡を見る事で悪役王女を生み出してしまう

一ノ瀬 彩音

第1話 悪役王女誕生

私は某お城の王女をしているのですけれど、王女っていうのは

意外とお暇が多いのですね。


なぜなら、この国では争いもなければ戦争もございません。


争いも戦争もないことはとても良い事ですけれど、それでは退屈で

退屈でどうしようもありません。


そんな私は謁見の間に居ますが、特にする事もなくて困っている。


「何か楽しいことはないかなぁ~」


そんな事を考えいたら、一人の兵士が謁見の間に駆け込んでくると兵士が

「王女様、お伝えしないといけない事があるのです。宜しいでしょうか?」


「騒々しいわね、一体何の用なの」


「とりあえず、お話してごらんなさい」


「はっ、それがですね、こんな物が落ちていました」


一人の兵士は何かを差し出してくると私はそれをまじまじと見つめていると

それはな、な、な、なんと私のパンツでした。


「これを何処で拾ったの?」


「それがですね、ここへ来る途中に見つけました」


「それは本当ですか?」


「はい、そうです」


なぜ私のパンツが落ちていたのでしょうか。


これは気がかりだとは思いますが、どうするか考えないといけないので

兵士をまずはどうにかしましょう。


「用は済んだのね?」


「はい」


「それではお下がりなさい」


「はっ」


兵士は謁見の間から出て行くと何処かへ行ってしまうのでした。


「パンツの件を確かめないといけないわね」


私は玉座から立ち上がってドレスの中に手を入れて確認するとパンツを

穿いていないことに気が付きます。


「どうして、どうしてなの、パンツを穿いてないじゃない」


これは緊急事態だとわかると、私は謁見の間から出て急いで寝室に戻ります。


寝室に戻るとすぐさまドレスを脱いでパンツを穿いているけれど、その時に

一人の兵士がノックもせずに寝室へ入って来るのでした。


兵士の姿を確認すると私は

「きゃあっ、何で寝室に居るのよ、この変態っ!!」


一人の兵士が

「これは失礼致しました」


兵士はすぐに寝室から出て行くと私はホッとしているのです。


「私の恥ずかしい所を兵士に見られてしまったようね」


パンツを穿き終わるとドレスを着直して私は鏡がある所へ行きます。


鏡の前に立ってしばらくしているといきなり鏡が光輝きだして

辺り一面を光で覆いつくします。


しばらくしてから元に戻ると私の隣にもう一人の私が居ます。


「どちら様でしょうか?」


「私のお名前はクリス・イルマリアよ」


「えっ、私と同じ名前じゃないの、どういうことなの」


そうしているともう一人のクリス・イルマリアは私の方へ近づいてくると

いきなり私にキスをしてくるのです。


一回のキスだけじゃ終わるわけではなくて何度も何度もキスをされると

私はうっとりとしていて蕩けています。


こんなことってありえるのかどうかは知りませんが、実際に起こっていることなので

受け入れるしかない。


「うふふっ、貴方って意外と可愛いのね」


「何を言ってるのよ」


「私はもう一人の貴方よ」


「よくわからないし、もう一人の私って何なの」


「説明すると貴方の悪の心から生まれたのよ」


「悪の心?」


「ええっ、そうよ」


「そんなの信じるものですか」


「信じる信じないも貴方の勝手だけど、貴方と私って似ているでしょう」


「た、確かに似ているけど、そんなのはどうでもいいじゃない」


「まぁ、私は貴方にとって最悪なのかもしれないし、そうじゃないかもしれない」


「言っている意味がぜんぜんわからないのと、どうして私と同じ名前なのよ」


「貴方と私は同一人物なの」


「それが本当だとしても仲良くするつもりはございません」


「私の事を邪険にすると大変な事になるわよ」


「そんなことを言って私の事を惑わす気でしょ」


「どう思うかは貴方の勝手だろうけど、私は勝手にやらせてもらいます」


「好きにすればいいじゃない」


私にはよく状況が飲み込めていませんが、きっと鏡を見たせいでこういう事に

なっているに違いないと思います。


それにしてももう一人の私をどうにかしないと混乱を招く恐れがあるのは事実ね。


一刻も早くもう一人の私をどうにかしなければ大変な事態になってしまうと思うので

真剣に考える必要はあるようね。


仮にもう一人の私が王女の責務をやりだしたとなれば、私の存在も危うくなるし、

本当にどうにかしないといけないわね。


その後、私はもう一人の私と真剣にお話合いをして元に戻ってくれたのです。


これからは余計な事をせずに王女としての責務を果たしていこうと思います。

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王女は鏡を見る事で悪役王女を生み出してしまう 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

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