第3話 今年のクリスマス

今年はサンタさんがきた。きっと、今まではお母さんがやってくれてて、今年からはお父さんの番なんだね。

僕は知っていた。サンタさんなんかいないことを、幼いながらに知っていた。でも、誰にも言わなかった。今年から上がった学校でも、去年まで通っていた幼稚園でも、

「さあ、どうなんだろうね?」

とごまかしていた。父と母に知られたくなかったんだ。だって、知られたらもうプレゼントを枕元に置いてくれなくなるでしょう?こそこそ僕の部屋にやってきて、めんどくさそうに僕の部屋にプレゼントを置いていく母。それが、いつも喧嘩ばかりしている母が唯一見せた愛情だった気がするんだ。

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