お母さんとサンタさん

空月 若葉

第1話 お母さんの出て行った日

お母さんがいなくなった。クリスマスイブの日だった。ちょうど、今日から一年前の日のことだ。


「プレゼント、楽しみだなあ。」

そんなことを言って寝なかった5歳の僕に、お母さんは冷たく

「早く寝なさい。」

と言った。今日はクリスマスイブだというのにいつもより不機嫌で、父と喧嘩したのかな、と想像した。

父と母はいつも喧嘩していた。味付けのこととか、小さなことでいっつも。僕がどうしてうまく育たないのかが題材にされていることもあったかな。

僕は悲しく思い出しながら、昔のことだからもう忘れなきゃとにっこり笑った。

「なんなの。おかしな子ね。早く寝なさいって言ってるでしょ!」

「はあい。」

眠そうに返事をすると、母は部屋を出て行った。母も自室に戻って眠るのだろうと思って、何も思わずそのまま眠りについた。

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