第98話 箱庭

最近、庭に除草剤を散布する度に小さな悲鳴が聞こえるようになった。

とっても気持ちが悪いけど、放置も出来ない。それからは面倒でも草むしりをするようになった。


地面に近づくとワケの分からない痛みを体のあちこちで感じた。痛い場所。よく見ると、プクッと血が盛り上がっていて……。慌てて持っていたティッシュで血を拭き取る。手から落ちたティッシュは風もないのにカサカサ揺れ、地面を流れるように動き、僕の前から姿を消した。



気味が悪く、腰を屈めての草むしりが出来なくなった。




【 この庭には何かがいる。見えない何か 】



借りた電動草刈機を使用し、一気に庭を綺麗にする。


しばらく順調に作業を続け、3時の小休憩。



少しして戻ると、何者かに草刈機をメチャクチャに壊されていた。



解体され、部品がバラバラ。




夏になり、草だらけの庭に小さな向日葵がいくつも咲いた。とても可愛かった。



この庭には、何も手を加えないし。


奪いもしない。



庭からは、今日も微かに笑い声が聞こえている。

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