第79話 霧
壊れたドアの隙間から、外に出た。
冷たい霧。真っ白な世界。
………。
彼女の声が聞こえた。
「この先で待っています」
「ずっとずっと待っています」
「だからアナタも早く来て下さい。私に会いに来て、この冷たい体を抱きしめて」
今日は、睡眠薬をたくさん、たくさん飲んだから。だから、今度こそ。夢の中でキミに会える。
「もうすぐ会えるよ」
今までとは比較にならない濃い霧の中、恐ろしい彼女の声?が聞こえた。
「びゅばあぁあぁあぁぁ」
……逃げ……な。
これから始まる。
長いーーーーー
長いーーーーーーーー
悪夢が。
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