第78話 光を求めて②
ママがいなくなって、何日も過ぎた。僕は、穴の空いた世界で今日もママの帰りを待っている。
かくれんぼを続けた。一緒に遊びたかった。
ただ、それだけーーーー
僕は、ママを探すのを中断して、目の前を静かに泳ぐお魚の口に飛び込んだ。もう自分の足で歩かなくて良いから、すごく楽。疲れていたから、うとうと魚の中で寝てしまった。
しばらくして……。
気がつくと僕は、皿の上にいた。
笑い声がする。焼いた魚と混ぜられ、髪の長い女に食べられた。
どうやら僕の姿は、ママにしか見えないらしい。
この人のお腹の中は、安心する…………。ママを思い出した。僕を食べた女は、すぐに赤い泡を吐いて死んじゃったけど、人なんてまだまだいっぱいいるから問題ない。
ねぇ………ママ。
ねぇ、ねぇ、ねぇ。
僕は、今日も知らない人の腹の中でママの夢を見ながら、ゆっくり眠るんだ。
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