第64話 夢物語①

僕は、今日も夢を見る。格好つけるなら、夢の旅人。夢は、見るまでどんな夢か分からない。もしかしたら、怖い怖~い悪夢かもしれない。でも、大丈夫。僕には、ロボットの相棒がいるから。


夢の中で目を開ける。僕は、草の絨毯の上に立っていた。広くて先が見えない。太陽の匂い。ポカポカして、とっても気持ちが良かった。



これは変な話だけど、夢の中でまた寝そうになった。




「ねぇ、ねぇ。何してるの?」


僕の隣には、相棒のロボット。さっきから、何かの機械? を作っていた。


「それは、何?」


「過去と未来を行き来する機械だよ。タイムマシンとか、呼ぶよね」


「タイムマシン? 聞いたことはあるけど見るのは初めて」


「ねぇ……マモル君。マモル君は、過去と未来、どっちに行きたい?」


「う~ん。未来かなぁ」


「どうして?」


「う~ん。過去は、行くものじゃないと思うから。日記とか、アルバムとか、そういうもので思い出すものだと思うから」


相棒は、動かしていた手を止めて、僕を品定めするような目で見ている。黒い豆粒みたい。


「マモル君」


「なに?」


「遊ぼう。ほら、あっちのほうに綺麗な鳥がいるから見に行こう」


「えっ! でも……。タイムマシン、まだ完成してないよ?」


「もういいんだ。僕には、過去や未来より、マモル君との『今』の方が大事だから」


「ふ~ん。良く分からないけど。まぁいいや。遊ぼっ!」


僕は、ロボットの右手を握り、学校で習った歌を歌いながら元気良く歩いた。


「あれ?」


「どうしたの? マモル君」


「あぁ……うん。何でもない。何でもないよ」



ロボットの手は、機械のはずなのに少し温かかったんだ。


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