ゾンビルール⑤

映画を観た後、二人で手を繋ぎ、しばらく夜道を歩いた。


竹林を抜け、高台から夜景を見た。夜景と言っても都会のような派手さはなく、それでも家や町工場の小さな明かりは、僕の気持ちを穏やかにしてくれた。

きっと、ナツも同じ気持ち……だと思う。



「あっ」


「…………」


夜の闇の中でもはっきりと見えた。天にゆらゆら昇る赤い煙。僕以外にもゾンビの体を焼いている。あっちでも、こっちでも。元は、人間なのに。まるで生ゴミのように処理している。



【ゾンビ病】


死ぬより辛い病。感染者は、増え続け、政府の対応も追いついていない。先週、副総理も感染したとか。



「ねぇ、サトル。一緒に死んでよ」


「うん。分かった」



ゴッ。


ナツに軽く胸を叩かれた。



「死んだ?」


「うん。死んだ。死んだ。ここって、天国ですか?」


「フフ、何それ。つまんね」


それでもナツは、笑ってくれた。




その晩ーーーーー


狩りに出た。ナツを守る為に僕は、人間を捨てた。

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