雨に喘ぐ

雨が、降っている。

もう何ヵ月も。


青空が、恋しい。子供たちが、外で元気に遊んでいる姿を想像する。



「先生ーーー」



今は、子供たちの苦しく喘ぐ声しか聞こえない。



「……先生。医者は、神ではありません。救えない自分をこれ以上責めないで下さい」


「……………」


「それに随分お疲れのようです。顔色が悪い。少しお休みになられては、どうですか?」


「………………」





『どうして、僕を刺した?』





「さぁ……そこのベッドに横になって。先生が寝るまで、私が添い寝してさしあげます」



当分……




「だから、私だけを見て。アナタは、誰にも渡さない。子供たちにも」




雨は、止みそうにない。

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