第19話 子守唄

夏休み。

探検家ごっこをして、偶然見つけた古井戸。今は、使われていない。



その井戸の底から聞こえる子守唄。



「だ、だ、大丈…ふすかぁ?」


井戸を覗く勇気のない僕は、か細い声だけ遠くから投げかける。


「助け………呼びますかぁ?」



まだ聞こえる妖しい声に頭がクラクラする。




妖怪? 幽霊?



底にいるのは、きっと人間ではないだろう。


次の日、友達と同じ場所を見に行くと井戸そのものが消えていた。


あれから何年もたつが、たまぁに思い出すことがある。その夜は、必ず熱を出し、悪夢にうなされる。



僕は、虜になってしまった。

あの美しすぎる声に。


井戸の底。底。底…………。


見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たいぃぃいぃい



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