秘密の時間

@PONY_O

No.1

____桜が舞う4月。入学式。


私はセア。新中学生。

この中学校は、他の学校の人々も来るらしく、教室に前からの友がいなくなってしまった。


「おはよう!隣だねー!まぁ、すぐ席変えるだろうけど(笑)」


幼稚園の時から同じ女子が挨拶してくる。とくべつ仲が良いというわけでもないが…。

彼女はサナ。同じクラスになった事を恨む。

すると、先生がやってきて、入学式に参加する。



そして入学式は終わり、席をしっかりと固定する事にする。

横に来たのは、男子だった。顔はそれ程良いというわけでもないが、優しそうな面白い人だった。

引っ越してきたらしく、故郷が私と同じだった。


そこで私は、恋に落ちた。


想像以上にその人が優しく、面白かった。今までにこんなに好きになった人はいない。


___しばらくし、部活も始まりだした。

とある水曜日。少し用事があり、教室に1人で残っていた。

すると、誰かの机の上に荷物がまだあることに気付いた。

(誰だろう…?)

そんな疑問を抱き、誰の机か見にいってみる。

____細島 カイト。私の好きな人…。

まだ彼が残っていた。だが、私は帰る準備を始めた。叶わない恋だと分かっていたからだ。


「___俺、好きな人、青森にいるんだ。まだ、地元の奴が好きなんだ。」


そのとたん、

ガラッ!

と音がした。教室のドアが開く音だ。

振り返ってみると、カイトが、そこにいた。


「あれ、まだ、いたの?」

「うん。まぁね。」

という短い会話。

その時私は、どうしようもなく辛くて、教室を飛び出してしまった。


____一週間後。


私は1人で賭け事をして、試しに彼を待ってみた。

すると、彼は来た。

それから2人きりで、完全下校の時間が来るまで話した。話しても話しても話したりなかった。


ある時、私は空を見て、さりげなく言ってみた。


「____月が。綺麗ですね。」

彼はきょとんとした。

「まだ…月出てないよ?」


…?


あ、そっか。彼、意味を知らないんだ。

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