第28話

「いいえ…… そして平井さんは疑うことなく鍵を開けた。ところが室内なかからチェーンロックが掛かっていた」


「ああ…、そうだよ……」

 面倒臭そうに力斗は頷いた。


「あなたは、平井さんに早くチェーンロックを外せとかせた」

「あン…… そりゃ、そうだろ。妻の佳代が自殺するッて言ってんだから」


「けれど焦れば焦るほど、どうやってもチェーンロックはそとからはずせない」

「何を言いたいンだ……」


「別に…… 業を煮やした力斗あなたは、平井さんを退かして、チェーンロックを蹴破った」


「ああ…… あいにく脚の方は怪我してないからな」

 笑みを浮かべ足元を見た。


「そして室内に入り、練炭自殺している佳代さんを発見し通報……」

「ああ…… 何か問題があるのか」

 僕らを睨みつけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る