魔導騎士(ベルムバンツェ)プロット

有原ハリアー

第一部概要

(第一章)


 とある街で目を覚ました青年は、暴漢に襲われる少女を助ける。

 少女の家まで彼女を送る途中、人型機動兵器“魔導騎士ベルムバンツェ”が二人を急襲。二人を拉致せんと襲い掛かるが、青年が魔導騎士ベルムバンツェAsrionアズリオンを召喚する。

 次元の違う戦闘力で暴漢を撃破した二人は、少女の師匠、リラ・ヴィスト・シュヴァルベと合流し、屋敷に案内してもらう。

 そして青年はリラの計らいで、屋敷に泊めてもらえる事になった。加えて、新たなる名前を与えられる。それは、“シュランメルト・バッハシュタイン”という名前であった。


(第二章)


 リラの屋敷に住む事となったシュランメルトは、早速、リラとの模擬戦闘を持ちかけられる。

 模擬戦闘の心得を学びつつも、全力でリラの相手をするシュランメルト。

 リラの使う特別製の魔導騎士ベルムバンツェをも鎧袖一触するその強さに、リラはもちろん、リラの弟子であるフィーレとグスタフも、興味を抱く。

 リラとの模擬戦後、フィーレとグスタフが「どちらが先に戦うか」で喧嘩。しかしシュランメルトは、「二人まとめてかかってこい」という驚愕の一言で、喧嘩を仲裁する。

 フィーレとグスタフのどちらの魔導騎士ベルムバンツェも、極めて強力な機体である。その2台をも、やすやすと撃破したシュランメルト。

 しかし模擬戦闘後、「やり過ぎ」とリラから叱られる。そして罰として、「フィーレ姫の王城への帰還に伴う護衛」を命じられたのであった。


(第三章)


 フィーレ姫が王城へ帰還する事になった。

 罰を受けたシュランメルトは、帰還への護衛に、王室親衛隊と共に同道する。

 やがて王城へ着いたシュランメルトは、国王と謁見。しかしひょんな事で、シュランメルトの出自とおぼしき“体のアザ”を見つけられる。

 国王の鑑定により本物とされたアザ。シュランメルトは、後から合流してきたフィーレの姉、シャインハイルと共に、神殿へと向かう。

 たどり着いた先では、あまりにも巨大な魔導騎士ベルムバンツェが鎮座していた。自らを「Asrielアスリール」と名乗った魔導騎士ベルムバンツェは、シュランメルトの出自や未来の一部を伝えたのであった。


(第四章)


 シュランメルトが王城にいる間、誰も彼もが、恋煩いをしていた。

 一人ずつ、それぞれ違う、けど本質は同じ、そんな恋の様子を垣間見る。


(第五章)


 シュランメルトは、一匹の黒猫を見つける。

 その黒猫はなんと乙女に変身し、自らを「Asrionアズリオンの全力を引き出させる存在」、そして「シュランメルトのお嫁さん」と言った。Asrielアスリールの予言にあったこの黒猫のキテレツぶりを見て、シュランメルトのみならず、フィーレやシャインハイルまでもうろたえる。

 黒猫はシュランメルトやフィーレ、シャインハイルに、“パトリツィア・アズレイア”という名前と、「シュランメルトのお嫁さんは何人いてもいい」という驚愕の一言を伝えたのであった。


(第六章)


 乙女の言葉が本当かを確かめるべく、騎士教練学校へ向かうシュランメルトとパトリツィア。

 学校教官であるアレスとの対決を経て、シュランメルトはAsrionアズリオンの強さを確かめる。

 翌日、事件に巻き込まれるシュランメルト達であったが、パトリツィアが秘める力を発揮し、これを解決。

 そして王城に現れる一人の男。彼は自らをシュナイゼル・ベルリ・ヘルトと名乗る。

 シュナイゼルにフィーレを守り抜く資格を証明するため、決闘に応じるシュランメルト。結果はやはり、シュランメルトの勝利に終わる。

 だが、そこに魔導騎士ベルムバンツェの大部隊が現れる。あるものを見て“フィーレを襲った者の仲間”と確信したシュランメルトは、アレス、シュナイゼルと共にこれを撃退する。

 そして、リラの屋敷に戻る準備を始めるのであった。


(第七章)


 リラの屋敷に戻る途中、謎の魔導騎士ベルムバンツェに奇襲されるシュランメルト達。

 そこにAsrionアズリオンによく似た紫の魔導騎士ベルムバンツェが助太刀に現れ、襲撃者達を撃破する。

 しかし一連の襲撃には、シュランメルトが知らぬところでの暗躍があった。紫の魔導騎士ベルムバンツェを駆る女性、“ノートレイア・フレイフェル・アズレイア”は、暗躍する者達を阻止せんと奮闘するも、あと一歩のところで逃がしてしまう。

 それでもやれるだけの事をやるため、彼女は国王に詳細を報告したのであった。


(第八章)


 リラ工房に帰還したシュランメルトであったが、そこに一人の男が来訪する。

 旅人と名乗る男は、一晩限りリラの屋敷に泊めてもらい、その間にシュランメルトに忠告を残す。

 残された忠告を受けて考えこむシュランメルトは、記憶の手がかりを得るため、誰にも告げずに屋敷を出る。

 その頃、王都では脱獄事件が発生していた。

 ノートレイアと同様の、しかし山吹色の魔導騎士ベルムバンツェを駆る女が起こした脱獄事件に居合わせたシュランメルト、そしていつの間にか合流していたパトリツィアは、Asrionアズリオンを駆って魔導騎士ベルムバンツェを止める。

 その戦闘中、さらに同様の魔導騎士ベルムバンツェ――Asrifelアズリフェルと呼ばれる機体群――が現れ、山吹色の魔導騎士ベルムバンツェを拘束したのであった。


(第九章)


 Asrifelアズリフェルを駆る部隊――自らを“神殿騎士団”と名乗る――は、シュランメルトを拠点へと案内する。

 そこは以前会ったAsrielアスリールの神殿に繋がっており、今回もシュランメルトは、Asrielアスリールと会った。

 Asrielアスリールからの予言を受けたシュランメルト。「明日の夜に、大切な者達が襲われる」という内容の予言であった。

 その時刻まで間があるうちに、シュランメルトは騎士団員から、自身にまつわる話を聞く。その話には、シュランメルトの記憶に関わるものがいくつも存在したのであった。


(第十章)


 Asrielアスリールから「リラの屋敷が襲撃される」と聞いたシュランメルトは、帰還したその日にリラ工房の防御を整える。

 夜になると、予言通り屋敷が“ヴォルフホイル”によって襲撃される。しかしシュランメルト達は準備を整えていたため、これを難なく迎撃した。

 が、襲撃は囮であった。“将軍”がシャインハイルを拉致し、ベルリール城へ手紙を寄越す。それはシュランメルトを挑発するものであった。

 シャインハイルを助け出すため、敢えてシュランメルトはこの挑発に乗る。

 Asrielアスリールの助けを受け、シュランメルトはシャインハイルを難なく救出する。しかし帰還の途中、オティーリエがシュランメルトを止め、問うた。「守護神としての自覚」と。

 シュランメルトは「既に自覚は芽生えた」と答える。それに満足し、黙って去るオティーリエ。

 かくして、シュランメルトはシャインハイルを救出したのであった。


(第十一章)


 シャインハイルを助け出したシュランメルト。

 シャインハイルはシュランメルトを部屋に呼び、自らの想いをシュランメルトに打ち明ける。それを聞いたシュランメルトもまた、おのれの想いをシャインハイルへ打ち明けた。

 相思相愛である二人は、そのまま結ばれる。

 しかし、裏で“将軍”は何かを企んでいたのであった……。


(第十二章)


 一通の手紙により、“将軍”の陰謀が明らかになる。

 “将軍”はグロスレーベへの反逆を行い、王位を奪取すると宣戦布告していた。

 これに対し兵を動員する運びとなったが、シュランメルトは葛藤する。リラ工房の三人を、加えてシャインハイルを巻き込みたくはなかったのだ。しかしシュランメルトは自ら四人に問い、覚悟を確かめると、共に戦う事を認める。

 戦いの前夜、シュランメルトは夢の中で、シャインハイルと会う。その最中に告げられたのは、「シャインハイル達王家と“将軍”は裏で繋がっている」「“将軍”はアルフレイド・リッテ・ゴットゼーゲン(筆者注:第八章でシュランメルトが蔵書を読んだ際、登場した名前。7年前の戦争における英雄)である」「今回の反逆には、神殿騎士団も関与している」という、驚愕の事実であった。


 そして、決戦の火蓋が切って落とされる。シュランメルト達は難なく“将軍”の潜む拠点を攻略するが、“将軍”にたどり着く目前で、仲間達と分断される。その先には、“将軍”ことアルフレイド・リッテ・ゴットゼーゲンが待ち構えていた。

 アルフレイドはシュランメルトに敵意を見せず、記憶を話す。数々の忘却した記憶、とりわけシュランメルトの真の名前である「ゲルハルト・ゴットゼーゲン」を話し、自らを殺させようとする。

 動揺し、反対の意を示すシュランメルトであったが、アルフレイドは「自らがシャインハイルを拉致した事実」を用いて憎しみを煽ってまで、自らを殺させようとする。しかし、シュランメルトはそれでもアルフレイドを殺そうとはしなかった。業を煮やしたアルフレイドは、いよいよシュランメルトに刃を向ける。

 動揺したままのシュランメルトには、攻撃をかわすので精一杯であった。それも動きを封じられ、Asrionアズリオンの胸部を殴られると、失神状態に陥る。

 その時、後部座席に座っていたパトリツィアが、必死にシュランメルトの意識を取り戻そうと試みる。自らの誓いである「シュランメルトの同意無くば襲わない(筆者注:キスをはじめとした性的な行為)」を、破ってまで。

 やがてシュランメルトが意識を取り戻す。覚悟を決めたシュランメルトはアルフレイドを討たんとするも、アルフレイドの一言で、攻撃を止める。しかし停止は間に合わず、アルフレイドに致命傷を与えた。

 シュランメルトが慌てて駆け寄るも、既にアルフレイドは虫の息であった。実の息子であるシュランメルトに看取られながら、アルフレイドは未来を託し、息絶える。


 その後、シュランメルトはベルリール城で悲しみに暮れていた。そこに母親を名乗る女性が現れ、アルフレイドの決意を告げる。

 激高したシュランメルトは母親につかみかかるも、母親からの説明を受け、冷静になる。

 そして母親は“天界”へと、シュランメルトを案内した。ここはシュランメルトの一族が死後に暮らす世界である事、アルフレイドがここに招かれた事を告げると、シュランメルトに別れを告げたのである。


 再びベルリール城に戻ったシュランメルトは、自らの記憶にまつわる話が、一応の決着を迎えた事を察したのであった。


(第十三章)


 舞台は、アルフレイドとその妻の葬式から始まる。

 葬式を終えたのち、シュランメルトは自らの父親を改めて知るために、ベルリール城の蔵書をひたすら読んでいた。


 一週間後、シュランメルトはAsrielアスリールの眠る神殿へ行き、Asrielアスリールの覚悟を聞く。

 続けて神殿騎士団の一団員であるオティーリエと話し、アルフレイドの遺志を継ぎ、そして自らの行いに責任を持つ事を誓う。

 その帰りにはリラと会い、自らの二つ存在する名前に対する考えをはっきりさせる。その後はパトリツィアとの“約束”を果たすと、いつの間にか置かれていたリラの手紙を読み、リラ工房へ向かう所で本編は終わりを迎えるのであった。

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魔導騎士(ベルムバンツェ)プロット 有原ハリアー @BlackKnight

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