沈む、掴む、浮き上がる

夢鳥の尾からはその啄んできた数多の夢が雲母の薄片となって舞っている。大気に融けた雲母で辺りが薄荷の香に満ちると、たちまち魚と転じて大洋を志し、夜の底へ姿を消した。やがて温んだ水に飽けば、ふたたび胸鰭を風切羽となし、羽繕いをして水面を叩き、朝の海を越えてゆくのだろう。

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短いもの さわまこと @Makoto_Sawa

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