大好きのままでいるために

リリィ有栖川

 スマホの上で指先がダンス。


 柔らかい指先が固い画面に当たる音が、清野いちごの部屋で聞こえる全ての音。


 白色の家具ばかりの六畳の部屋の、約四分の一を埋めている二人掛けソファに、ひじ掛けに足と頭を預けている体制が、清野いちごの部屋での定位置。


 半分閉じた目で見つめる画面には、文字が打ち込まれては消えてばかり。結局無難の極みみたいな返事をして送信。会話は続く。でも何も伝わらない。


 こんなことばっかり繰り返している。何が楽しいのか。

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