第12話 恋愛するにあたってのご注意

私は今から胡桃に恋愛を教えてもらう所ですが、きっと

何かがあると私は感じています。


胡桃がこんなに素直に引き受けてくれるなんておかしいし、

胡桃が恋愛するというメリットがございます。


「香奈お嬢様」


「何でしょうか?」


「恋愛するのにご注意してもらう事があります」


「はい」


「まず初めに下着姿になって下さいと言おうとしましたが、

既に下着姿なんですね」


「胡桃が衣服を返してくれないので下着姿です」


「そうでしたね、忘れていたのです」


「恋愛するのにご注意する事は何ですか?」


「それはですね、決して衣服を着てはいけません」


「えっ? ずっと下着姿で過ごすのですか?」


「そういう事になります」


まさか下着姿のままで一日を過ごさないといけないとなると、

恥ずかしいだけじゃ済まない。


「香奈お嬢様のパンツの色は赤ですね」


「赤ですけど、どうかしたんですか?」


「これで香奈お嬢様のパンツの色を当てる事が出来たので

お好きにさせてもらいますね」


「そんな卑怯よ」


「卑怯ではありませんし、作戦です」


「そんなのってずるいじゃないの」


「何とでも言ってくれて構いません」


「仕方がありませんね、パンツの色を当てた事を正解に致しましょう」


「ありがとうございます、香奈お嬢様」


「それで私にどうして欲しいのですか?」


「正式に私と恋人になって欲しいのです」


「それってつまり恋人になればいいのね」


「そういう事になりますね」


胡桃が恋人になって欲しいだなんて信じられないし、

もしかすると冗談かもしれません。


どっちにしても作戦によってパンツの色を当てられて

しまったので言う事を聞かないといけないのも事実です。


お好きな事をしてもいいって言ったのもありますけれど、

それが恋人になって欲しいというのは普通過ぎるというか、

地味過ぎるというか、拍子抜けしています。


もっと大胆な事を要求されると覚悟していたのにぜんぜん

違ったので何もありません。


これからは胡桃の恋人となるのでしっかりと恋人として

やっていかないといけないですよね。


「胡桃は恋人になって欲しいと言いますが、具体的な案

はあるのでしょうか?」


「香奈お嬢様、特にこれといってございません」


「私が下着姿なので外出は無理かもしれませんが、他の事なら

問題なく出来ると思います」


「そうですね、恋人と言えば、一緒に添い寝するという事でも

いいのかなって思います」


「添い寝ですか、それはいいですよね」


「はい、香奈お嬢様」


「添い寝でお願いします」


「恋人として添い寝させてもらいます」


私と胡桃は恋人となれたのはいいけれど、これからが特に

大変なような気がしてなりません。


私は私なりに恋人として頑張るだけでございます。

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