私は攫われる!

「もう少し掘る予定だったが予想外の荷物が増えちまったから拠点に戻るか」

 「頭?この娘の拘束はどうしますか?」

 「そうだな...おい、あの手錠はまだ余っているか?」

 「余っていますが...この娘が魔法を使うんですか?」

 「念のためだ、あの手錠は普通に手錠としても使えるから問題無いだろう、持ってこい」


 目に傷が縦に入っているムキムキの男がこき使われるのを見ると盗賊稼業も楽じゃないのかもしれない 傷のある男が持ってきたのはゴツゴツした手錠だが真ん中に吸魔石が入っている なるほどあれを組み込むと魔法が使えなくなるのかー でも吸魔石が一つでいいのかな?なんて思ったけど普通の人は吸魔石を付けられたら多分魔法を使うたびに魔力を吸われるから魔法を使えないんだろうね 私は魔力が多いからそもそも普通の吸魔石の容量を簡単に超えて砕け散っていくんだけどね


 「よし、行くぞ、いいか?大人しくしておけよ?暴れたり抵抗したら痛い目を見る事になるからな?」

 「...わ、分かりました...」


 私が来た道をまっすぐ帰っていく 迷いが無い辺りこの盗賊は何度もこの鉱山に来ているのかな? この鉱山を抜けてしまえば魔法を使えると思ったけど大量に持っている吸魔石が近くにある限り魔法を使うのは難しいかもなぁ...強化系なら使えるんだろうけど...

 なんて考え事をしていたら外に出ていた 明るい...急に外に出たからまだ目が慣れてないしもう明るくなっている...そんなに時間経っていたのか


 「あれ?お頭?なんですかその子供」

 「中で拾ったんだよ、適当に奴隷商人でも売るかオークション辺りに売ればいい金になりそうだからな」

 「なるほど...確かに美人になりそうな顔ですね」

 「そうだろ?だから取り合えず拠点に持ち帰って奴隷商人なりオークションの支配人なりにコンタクトを取る」

 「魔石はどうしますか?」

 「魔石はいつも通りだ、保管しておけ」

 「了解です」


 どうやら魔石は保管してあるのか...魔石全部持っていきたいけど流石に無理だよね... というかもう売られる事で確定しているのが少し悲しい もう少し猶予的なのがあるんだと思っていたけどこれはすぐに売られちゃいそうだ いつ逃げようかな


     ◆◇◆◇


 「よしついたぞ、悪いが手錠は付けさせて貰うし手錠には鎖を付けさせて貰う、逃げられたら面倒だからな」

 「...分かりました...」

 「よし!本当ならもう少し取りたかったんだが明日か明後日には撤退するぞ!」

 「分かりました!お頭!」

 「今日は飲むか!」


 この盗賊達は朝から飲んでいくのか 確かにここは安全だろうけど ついてきた感じ鉱山の近くの洞窟を拠点にしているらしく夜に来て朝に帰り鉱夫が取る分の魔石を掘っては拠点に隠れという事をずっとやっているのだろう だから魔石が足りなくなってきたのかな?


 「おい、ガキ?お前何処から来たんだ?」

 「...道をまっすぐ来ました...共和国から...」

 「家出か?災難だな、国を出たら俺たちに捕まるんだから」

 「...おじさん達は何を集めていたんですか?...」

 「ん?俺たちか?俺たちはあの鉱山の中で魔石を掘っていたんだ」

 「魔石を...?どうして...?」

 「それは子供でも言えないな、まぁ一つ言えるのはお金になるとだけ言っておこうかな」

 「...なるほど...」


 お酒を飲んでいるという事は多分ここに居る盗賊達は眠るはずだから寝たら逃げる事にしよう...それまではずっと大人しくしておこう...


     ◆◇◆◇


 三時間ぐらい経ったのだろうか?少なくともここに居る盗賊達は全員泥酔している 流石に見張りとかはお酒を飲んでいないだろうけど これでやっとここから逃げる事が出来る...お酒臭かった...


 「...どうしようかな...魔石も持っていきたいなぁ...」

 「大丈夫じゃない?さっき色んな所見てきたけど魔石の所に誰も居なかったわよ」

 「あ、リーア...さっきまでなんで出てこなかったの?」

 「だって出てきても喋れないじゃない、それに念のためよ、念のため」

 「...まぁいいけど...じゃあ魔石の所に行こうかな?」


 まずはずっと私の魔力を吸って既に黒くなった魔石に更に魔力を込める するとヒビが入って綺麗に砕け散る 後は土魔法で無理やり手錠を壊せば自由!


 「人生初めての手錠だった...少し痛かったかも...」

 「お家に帰ったら治癒魔法をかけるといいわよ、痕になったら嫌だと思うしね」

 「そうだね...早めに帰っちゃおう...」

 「じゃあ、行くわよ?魔石は奥にあるわ」


 リーアが照らしながら歩いていく 泥酔して転がってる盗賊達を踏まない様にしながら歩いていく 割と沢山いるんだよね... 少し歩いて洞窟の奥に行くと麻袋の様な物に魔石が詰められた物が沢山あった 麻袋がかなり積まれているから本当にずっと取っていたんだろうななんて思ったり

 魔石の近くだから少し遅いけど時間に余裕はあるからゆっくりと空間魔法を広げていく 麻袋が一つ入るような大きさまで広げたらそこから浮遊魔法を使って一つ一つ丁寧に空間魔法に入れておく 便利だね


 「...ふぅ...やっと全部入った...じゃあ逃げるよ?」

 「さっさと逃げちゃいましょう、長居して見つかる方がめんどうくさいし」

 「そうだね、よいしょっと」


 自分とリーアを空間魔法に入れてさっさと閉じる どうやら空間魔法に入れた魔石は弁当とかと同じで時間が止まっているのかもしれない 魔力を吸われている感じが無くなって一気に楽になった


 「じゃあ帰ろうかなぁ...一番安全なのどこかな...」

 「自分の部屋でいいんじゃない?ギルドとかに出て見られても困るでしょ?」

 「それもそうだね、じゃあ自分の部屋に戻ろうっと」


 なんやかんやあったけど終わりよければ全てよしってね 結果だけで見れば少し頑張っただけで吸魔石が沢山手に入ったしね? 多分ノアも驚くだろうな~ 依頼して一日で頼んだ分の10倍以上は持ってくるんだから 取りあえず今日は疲れたから家に帰って休んじゃおう...!

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