第7話

起きた。

生きてる。

涙が出た。

こんなに起きれたことが嬉しいのは小学3年生の時の遠足の日の朝以来だ。

あの時は楽しみでなかなか眠れなくて、親に

‘早く眠らないと朝から起きれなくなって、みんなから置いていかれる’と脅されていた。

でもそれで余計に寝れなくなったけど、いつの間にか寝ていて、朝から起きれたからとても喜んだのを覚えている。

いや、それよりも今はもっと各段に嬉しい。

体を確認しても、どこも食べられたような所はない。

この世界に来て初めて眠った。

どれだけ眠ったのだろうか。

時間を確認しようとしたけど、そういえばここには時計がない。

朝は明るくなり、夜は暗くなるみたいだけど、正確な時間は分からない。

太陽で大体の時間が分かると聞いたような気がする。

太陽、太陽……

ない。

そういえばここは明るくなったり暗くなったりするけれど、太陽みたいなのはない。

どうしてだろう。

……深く考えないようにした。

分からないことをいくら考えてもダメだと誰かに聞いたことがある。

ここはもう切り替えよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る