第7話ルーク視点

 僕のお姉ちゃんは可愛い。 

 僕のお姉ちゃんは美しい。

 僕のお姉ちゃんは優しい。

 僕のお姉ちゃんは正しい。

 僕のお姉ちゃんは凛々しい


 お姉ちゃんは僕を抱っこしてくれる。

 お姉ちゃんは僕を撫でてくれる

 お姉ちゃんは僕をおんぶしてくれる。

 お姉ちゃんは僕を愛してくれる

 お姉ちゃんは僕を守ってくれる。


 お姉ちゃんは僕と一緒に散歩してくれる。

 お姉ちゃんは僕と一緒に遊んでくれる。

 お姉ちゃんは僕と一緒に寝てくれる。

 お姉ちゃんは僕と一緒に御飯を食べてくれる

 お姉ちゃんは僕と一緒に居てくれるのだ!


 絶対に許さない。

 お姉ちゃんを僕から引き離そうとする奴を許さない

 僕からお姉ちゃんを奪う奴は絶対に許さない。

 殺す。

 誰であろうと殺す。


 でもお姉ちゃんが哀しむのは嫌だ。

 ネイサンは嫌いだ。

 だから殺したい。

 でも殺したらお姉ちゃんが哀しむ。

 だから殺さない。


 エリアスも嫌いだ。

 だから殺したい。

 でも殺したらお姉ちゃんが哀しむ。

 だから殺さない。


「君たちはどう思う。

 王を殺した方がいい?

 王太子を殺した方がいい?

 ナオミを殺した方がいい?

 返事しろよ」


 大疣蛙は返事しない。

 疣豚も返事しない。

 大疣鼠も返事しない。

 大疣蚯蚓も返事しない。

 哀しそうにするだけだ。


 仕方がないから顔だけ元に戻してやる。

 顔があれば返事するだろう。

 殺してもよかったけど、殺すとお姉ちゃんが怒る。

 哀しそうに怒る。

 お姉ちゃんの哀しそうな顔は見たくない。


 だから殺さなかった。

 僕を殺そうとしたけど、殺さなかった。

 本当は殺したかったけど、殺さなかった。

 だから使う。

 役に立たなかったら、ここに捨てる。


「助けてください」

「許してください」

「王太子に命令されたんです」

「好きでやったんじゃないんです」

「仕方なかったんです」

「御願いです、許してください」


 煩い。

 助けてやったのに、煩い。

 顔を作ってやったのに、煩い

 僕が聞きたいのは、それじゃない。

 聞きたいことを言わないなら、顔などいらない。

 元に戻して静かにさせる。


 お姉ちゃんはどうして欲しいのかな?

 どうすればお姉ちゃんは喜ぶかな?

 王太子を殺したら喜んでくれるかな?

 それとも哀しんでしまうかな?

 お姉ちゃんに喜んで欲しいな。


 お姉ちゃんが頼むから、王宮に来たけど、お姉ちゃんと一緒にいられなのは嫌だ。

 もうやめる。

 僕を殺そうとしたモノは変化させる。

 殺すとお姉ちゃんが哀しそうにするから殺さない。

 でもお姉ちゃんを傷つけようとするモノや、哀しませるモノは殺す。

 直ぐお姉ちゃんの所に行きたい。


 お姉ちゃんに頭をなでてもらう。

 お姉ちゃんに抱きしめてもらう。

 お姉ちゃんに膝枕してもらう。

 お姉ちゃんにご飯を食べさせてもらう。

 お姉ちゃんに添い寝してもらう。

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