異世界転移 160話目
「で、どちらが主犯なの?」
「冤罪を主張します、やれとは言いましたが!」
「わらわはドライトに頼まれて見守っとっただけなのじゃ! 賄賂を貰って!」
「2人ともに罰を与えた方が良いんじゃない?」
「そ、そんな!」
「ヌーマ、そんなせっしょうなことを言うでないわ!」
マリルルナとユノガンドは龍神達に囲まれ半泣きで自分達は無実だと言っている、あと罰を与えるって今やってる算盤責めは罰じゃないのか?
「いで!?」
ケンがそんなことを考えていると尻に何かが刺さる。
「私は騙されないのよ! ケンのおにいちゃまは黙ってることがあるのよ!」
そこにはアンナの体型に合わせた小さな剣を持つアンナがいた。
「な、なんだよアンナ、俺は嘘なんかついてないぜ?」
「そうなのよ、ケンのおにいちゃまは嘘はついてないの、マリルルナ様にドラちゃんを殺すように頼まれたのは嘘じゃないのよ?」
「なら俺に責任は無いだろ? 俺だって嫌だったんだがこの世界の主神に命じられたのでしぶしぶやったんだよ。」
「でも断ったのよね?」
アンナの行動に驚く皆だった、そしてマリルルナとユノガンドは希望を見つけた!っと喜色満面になる。
そしてケンは凄まじい加速を見せると、一気に部屋から逃げ出そうとしてアッサリとガンジスに捕まるのだった。
「いやマジで頼まれたんだって!」
「不思議ね、2人の時よりも痛くない気がするのよ。」
「それはあれじゃな、他に苦しんどる者がおるから自分の苦痛が少しは晴れとるんじゃ。」
「ハハハ、クズですね!」
「お互いになのじゃ!」
「あなた等は少しは反省しなさいな、石を追加!」
「「ギャアァァァ!」」
「ちょっと聞いてくれ、本当に俺だってやりたくなかったんだ、体が勝手に動いただけなんだ。」
「あなたにも追加ね。」
「ギャアァァァ!」
算盤責めを受けるアホな神が2柱にバカな男が1人、それを覚めた目でキャロリンやフェリクス達が見ていると、アンナ達がコントロールバネルの前でゴソゴソと何かをし始めていたのにキャロリンが気づき質問をする。
「アンナちゃん、何してるの?」
「ドローンを出してドラちゃんを助けるのよ!」
「何機か出せば救助出来るはずじゃ!」
「それで水中型が有るか確認してたのです。」
その言葉を聞き顔を背ける面々、何故ならばドライトの事など忘れてケンやユノガンド達に罰を与えることに集中していたからだ!
「救助を忘れるなんて酷い話ですね。」
「まったくじゃな。」
「ドライト様の救助を忘れるなんて言語道断だな。」
「追加!」
「「「ギャアァァァ!!!」」」
アホな3人が追加の石を乗せられている間にアンナ達は水中型ドローンを見つけたようで、龍珠に出撃を命じている。
「ドラちゃん救助隊、出動なのよ!」
『了解しました、水中型ドローン出動!』
アンナと龍珠の命令が部屋に響くと、壁が開きそこからフンドシ姿で水中メガネを頭に着けて、G○Pr○防水ハウジングケースを装着した物を手にした分身体達が現れたのだった。 せめてドローンには乗れ。
何にしろ分身体達は部屋から飛び出すとハシゴを掴みかねて落ちていく。
「あだ!」
「ちょ、踏まないでください!」
「アンナちゃん達に良いところを見せるのですよ!」
そして静かになって少しすると、先ほどから水がジャンジャンと入っていっているドライト達が落ちた穴の映像が撮し出される。
「まだ水が出てるな?」
「ドライトったら無事かしら。」
「まぁ本来は呼吸の必要も無いんですけどね、私達。」
「……もしかしたら……水中に適応して……普通に生活してるかも。」
シリカ達は心配しているようでまったく心配せずに画面に見いっている。
「……ドローン停止なのよ!」
「どうしたんじゃアンナよ?」
「早く突入させてドライト様を助けましょう!」
「ダメなのよ、あの穴は変なの。 ドローンを分身体を突入させるのは危険なのよ!」
突然ドローンを停止させたアンナに、エルザとアクリーナが不思議そうにそう訪ねると、アンナはあの穴は危険だと言う。
「アンナちゃん、あの穴の何が危険なの?」
「ティーア姉ちゃま、あそこにはかなりの水がもう入り込んでいるはずなのよ、なのにいっぱいになって溢れないのは変なのよ!」
「でも中に入らないと様子が分からないし、ドライト様も助けられないわよ?」
「そうだったのよ! 龍珠さん、とりあえず何かを入れて調べられないかしら?」
ティーアの言葉にそう言えばそうだと龍珠に何かいい方法がないか聞くアンナ、すると龍珠はーーー
『無人深海探査機、江戸っ子1号をパクった江戸川っ子13号と言う機体が有ります。』
「な、何だか分からないけれども役に立ちそうだからそれをお願いするのよ!」
『了解しました、江戸川っ子13号発進!』
龍珠の言葉と共に空中に突然に深海探査機が現れる、転移させられる事が出来るなら最初からやれと言うことなのだが、そこは皆がスルーして「おおー!」っと歓声を上げている。 そして現れた無人探査機は穴に入り込むとドンドンと潜っていく。
「……おい、なんかやたらと速くないか?」
『確かにおかしいですね、もっとユックリと潜っていくものなんですが。』
「これ潜ってるって言うよりも、引き釣りこまれてるって言わないですかね?」
「『ハハハ、それ(です)だ!』」
ティーアの意見にケンと龍珠の言葉がハモる。
そして1000メートル潜ったと表示が出たときだった、真っ暗だった画面に突然に映像が写し出されたのわ。
『全軍前進!』
『多少の暴力は許される気がします!』
『何人か研究材料になってくれませんかね、自主的に!』
『ええそうですね、強制的に誓約書を書かせますが自主的にですよ!』
『モンちゃんを解き放っていいざますか?』
『ど、どっからこんなに湧いて出た!?』
『あぶねぇ!? あんたの本気のブレスは多少の暴力じゃねぇだろ!』
『ドライトさんの研究材料になるならマジで死んだ方がマシですよ!』
『おらぁ! ち、強制的にってそりゃ自主的にとは言わねぇだろが!』
『頼んますからそれだけは止めてくださいって、シャレにならないでござるから!!』
映像の中ではやたらとオドロオドロしい雰囲気の世界でドライトが扇子を振っている、その度に転移陣が現れそこからとんでもない数の分身体が現れては進軍をしていた。
指揮個体はドライト大将が槍を振り回してブレスを放っている、槍は飾りか? ドライトヒロシ探検隊長とドライト教授は何かの誓約書を取り出して、相手に無理矢理に誓約書と契約書を書かせようとしていて、ロッテンドライヤーはデーモンイーターと呼ばれる悪魔に特効の有るペットの蜘蛛を放し飼いにしようとして、やたらと偉そうな悪魔に土下座で止められていた。
「な、何してやがるんだアイツは?」
「あ、あれって王都に出た悪魔じゃないか!?」
「ほ、本当だ、ってかもしかしてここに映し出されている場所って、魔界か!?」
「……悪魔の手引き書とかに書かれているのとソックリの悪魔がいますね。」
「アルヴァーさんの言う通り、魔界みたいですね……ペトラさん、あれってサタン、ルシフェルじゃあ?」
「あー、こりゃ全面戦争だっちゃよ、ドライト様が圧倒的に押してるっちゃが。」
映像の中では王都で見たことの有る悪魔グシオンや、伝承などで伝え聞くものに間違いなければハエの姿をしたベルゼブブや他にもアスタロス等の有名で高位の悪魔達が揃っていた。
ドライトと戦っているものや土下座で止めようとしているもの、様々な対応だったが高位の悪魔が勢揃いしていた。
『ルシフェル、お前は悪魔の王のクセに何を土下座している! さっさと戦わんか!』
『いやでござる、ドライト殿と戦うとあとでろくな事にならないでござるから!』
『ベルゼブブよ、お前の分身達はどうした!』
『来る途中でこのクソ龍の分身体に襲われてるよ!』
『ブ、ブレスを乱射するなぁ!』
そして土下座しているのがルシファーだったようだ、ちなみに他の高位悪魔達は奮戦しているが1体だけやたらとブレスを撃ち込まれて逃げ惑っているのがいる、それがアスタロトのようだ。
『銀龍よ、何故に突然攻めてきた! 何故だ!』
悪魔グシオンがそう叫ぶ。
『え、だってダンジョンを掘り進んだらここに着いたんです、つまりマナルにダンジョンを造って攻め込もうとしてたのは、あなた達ということに勝手に決めつけたのです!』
『『『そんな適当な理由で攻め込んでくるな!』』』
「ドライトったらよく調べもせずに魔界に攻め込んだのね。」
「魔界に繋がったから、水も貯まらずに入り込み続けているのだな。」
「あ、あの良いんですか? 本格的に戦争になりつつありますが……。」
「シリカ、ドライトの言うことに一理ありませんが、戦いになった以上は仕方ありません。」
「それに、そろそろ……ああ、来たな。 地球の神々が介入に来たぞ。」
一理ないなら止めよろと思ったケンだったが、映像の中では神聖な雰囲気を身にまとった天使達が続々と現れてドライトを囲み始めた。
『魔界に誰かが攻め込んだと聞いてやって来れば、あなたでしたか。』
『これはミカエルさん、なんのご用ですか? ここは私が占領した後にステラとルチル用の遊び場にする予定ですのでお帰りください?』
『貴様、ここは地球の神々が管理する場だぞ、それを勝手に占領しようとは何事だ!』
『そーだそーだ、いくらハマリエルとフルの創造者だからって許さないぞ!』
ドライトの言葉に新たに2人の天使が現れる。
それを見てフェリクスがつぶやく。
「あの2人は?」
「別の世界の神の眷族ですね、女性がミカエル、男性がラファエルで少女がガブリエルです。」
「ラファエルとは会ったことねぇけど、ガブリエルはよくユノガンドに茶を飲みに来てるな。」
「リア姉……あれは菓子を食い散らかしに……来てると言う。」
「こら、他の世界の神々の情報を洩らさない! あ、ドライトも誰か召喚したわ。」
『ハマリエル参上!』
『フルだよ~!』
「ハマリエルとフルね。」
「あの2人を呼んで何をしようというんじゃ……あ、ガブリエルが誘われて2人と菓子を食いに行ってしまうのぅ?」
ハマリエルとフルに誘われて、転移陣に向かうガブリエル。
それをニヤニヤと見つめながらドライトが言う。
『三大天使の一角が崩れました!』
『ガブリエル! あなたお菓子に釣られて逃げるなんて何事よ!』
『親友達が誘ったんだから仕方ないじゃない、決してドライト様と戦いたくないからじゃないんだからね!』
「あの3人ってあんなに仲がよかったっけ?」
「ほら、ガブリエルと2人は精神年齢が近いから、それに通信を司ってるから通信室にハマリエルとフルがよく居るでしょ? それでよ。」
「あ~、それで仲がいいのか……あ、ダーリンが攻勢に出た。」
「もともと旦那様が優勢でしたから、もう決着がつきますわね。」
「……夫……ルシフェルに……注意。」
「「「あ。」」」
暢気に観戦し始めた面々だったが、ミカエルとラファエルやルシフェルに代わって悪魔を指揮し始めた高位悪魔、ルキフゲ・ロフォカレとベルゼブブがドライトと睨みあった瞬間だった。 ルシフェルが背後からドライトを剣で斬ったのだ!
『殿中でござる、魔界でござるよ!』
『ギャアァァァ、メチャクチャ痛いでござるですよ!』
「ああ、ダーリンが墜ちていく!」
「……何か嫌な予感がしますわ。」
「サルファも? それにあのドライトがあんなにアッサリと騙されて斬られるなんて、変よね?」
「……夫……笑ってた。」
ドライトはルシフェルに斬られて墜ちていったが、アンジュラの言う通りに満面の笑みで墜ちていった。
『フハハハ! 我等の勝利だ!』
『卑怯だけどもこれも戦いよ、さぁ降伏して戦闘を中止しなさい!』
ルシフェルは高笑いしながら剣を掲げる、その頭を殴って剣を取り戻すとミカエルは降伏するように指揮個体達に剣を突きつける。
どうやらドライトを斬りつけたのは天界の至宝、ミカエルの鞘から抜かれた剣だったようだ。
だがそんな至宝を突きつけられたロッテンドライヤー達指揮個体は、顔を見合わせてからドライト大将が前に出てくる。
『あのですね、私達は指揮個体で分身体の指揮をすることが出来るんですよ。』
『ええ、ですから降伏しなさいと言っているんです。』
『それなんですが、最終的な命令権はドライト総統が持っているんですよ?』
『我々は降伏するか戦闘を続けるかを決められないんですよね。』
『ドライト様の最後の命令は……全軍前進でしたよね?』
『あと皆殺しにしろと言ってた気がするざます。』
『『『………………。』』』
『……ルシフェル、っていない!?』
ミカエルが振り返るとルシフェル消えていた、慌てて見回すとルシフェルは低空を飛んで逃げていた。
『おいらは自由でござ[ザパァン!]げ、ドライト殿!? ギャアァァァ!!』
そして海だか湖だか分からないがその上を飛んでいたら、20メートルの本来の姿になったドライトが水の中から飛び出し、捕まると水の中に引きずり込まれたのだった。
『……魔界は譲るので天使達は逃してもらえませんか?』
『……殲滅戦ざます、皆殺しざますわよ!』
『撤収うぅぅぅ! 全力で逃げるのよぉぉぉ!』
『に、逃げるなんて我が主に、いっぱい来たあぁぁぁ!』
『こりゃ無理だ、逃げるか降伏しかないぞ!』
『降伏を受け入れる権限もないんですよ?』
『降伏したものに死を、しなかっものにも死を! とりあえず全員を殺すざますわよ!』
ベルゼブブの言葉にドライト大将とロッテンドライヤーが答える、その返答を聞いて悪魔と天使達はチリヂリに逃げ出すのだった。
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