異世界転移 157話目




「あ~あ、またあいつにからかわれただけか。」


「そう言うなよ、このダンジョンに問題がないと分かっただけでも儲けものだろ?」


「魔石も結構良いものでそれなりの数が確保できたしな。」


「しかしよう……ありゃテルミス様か?」


愚痴るケンをフェリクスとアルヴァーが慰めていると、ハシゴの途中でテルミスが止まっているのが見えた。


「何してるんだ? 後ろがつかえてるから登ってくれよ。」


「ひゃあぁぁぁ!?」


ケンが早く上ってくれと言いながら手袋を外して大胆に背中が開いた鎧の後ろから背骨に沿ってスゥーっと指を這わしもう片手で尻をもんだ。


上に集中していたテルミスは油断しきっていたようで、悲鳴を上げ真っ赤になりながら下にいるケンを見て蹴り落とそうとしたが、そのさらに下にアンナ達を背負ったキャロリン達がいるのを見てケンを蹴り落とすことが出来ない。


「あ、あなたは神である私に何をしますか!」


「いいじゃねぇか、減るもんじゃなし。」


「す、すいませんテルミス様! あとでよく言い聞かせときますから!」


「なんだよフェリクス、お前も触りたかったのか? なんなら場所を代わってやるぞ?」


「お、お前な!」


フェリクスが慌てて謝罪するがケンの言葉に本気で怒り始める、テルミスは顔を羞恥ではなく怒りから真っ赤にしていた、それを見てアルヴァーは目を細目ると。


「すいませんテルミス様、あとで「小言ならあとでと言わず今でもいいぞ?」……ケンの女房達に報告しておきます。」


「ちょっと待て!」


アルヴァーをバカにしながらそう言い放ったケンだったが、続けて言われた言葉に本気で慌ててアルヴァーを見る。


「テルミス様ご安心してくださいね、さっきからミラーナさんとクリスちゃんに送る映像を撮っていますから。」


「というか、私達がいるんだっちゃからミラーナ様達に伝わらないと思っているのがおかしいっちゃよ。」


エルフリーデとリンカの言葉に、ケンが絶望している間に皆がまた登り始める、それに続いてケンも嫌々ながら上がっていく。 するとハシゴを上りきり、上の部屋に上がって顔を出したところに見事な美尻が有った。


「ありがたや、ありがたや。」


そしてそれをナチュラルに触ろうとするケン。




『ドライトに賄賂を貰って頼まれとるし、マリルルナももう蘇生させる気がないようじゃからわらわが蘇生してやるが、お主死因が酷すじゃろ?』


『へ? ユノガンド様、なんで?』


美尻を思う存分に揉みしだこうとしていたケンはいつの間にか白いもやに包まれた世界にいた。

そして目の前で美味しそうにイチゴのショートケーキをパクつくユノガンドが。


『む? これかの、これは近江屋洋菓子店のショートケーキじゃ、他にも千疋屋のショートケーキも良いんじゃが、ここのはホールケーキを独り占めしている気分を味わえるからの? わらわのお気に入りなのじゃ、何にしろこれを賄賂に貰っている以上はしっかりと仕事をさせてもらうからの?』


『いやそう言うことじゃなくって……』


訳のわからない事を言ってきたユノガンドに反論しようとしたケンだったが、視界が反転して意識を失ってしまうのだった。




「……あれ? ここはどこだ?」


「おおお、復活したぞ!?」


「コイツのことはしぶといとは思っていたが、まさかあそこから蘇生するなんて!」


「ユノガンド様か……余計なことをするわね。」


「よかったわ! 私を孕ませるまで死なないでよね!」


「うーん、私の旦那ながら周りの反応が酷いっちゃよ。」


ケンが目覚めるとフェリクス達やマリルルナ達に囲まれていた。


「お前覚えてるか? ディアン様のパンチで上半身が吹き飛んだんだぞ!?」


「はぁ? フェリクス、お前何を……あ! さっき死んだときにいた場所と同じ場所に今もいたわ、俺!」


「やっぱり死んだのね! この短時間で2人も死者が出るなんて、恐ろしいダンジョンだわ!」


「その2人が同じ人物だと言うことに、疑問持った方が良いと思うっちゃよ。」


「お前らな……ん? ありゃ、ドライトの妹達か?」


エルフリーデとリンカのあまりの言いように一言言おうとしたケンだったが、セレナが抱える2人の銀色の龍を見てドライトかと思ったがその妹達と気がつき、そうつぶやく。

ステラとルチルは逃げ出そうとしているのか、短い手足をバタつかせている。


「ここってハシゴを上ったところか? ならドライトはどこだ、妹達しかいなかっただ?」


頭がハッキリとしてきたケンはドライトを探すが部屋のなかにはどこにもいない、そこでアルヴァーやキャロリン達に聞くとこの隠し部屋のなかにはドライトの妹達しかいなかったそうだ。


「セレナ様もドライト様がいると思ってたそうなのよ、それがこの部屋に来てみたらいたのはステラ様とルチル様の2人だけ、しかも何故かかなり焦って右往左往してたそうなのよ。」


「セレナさんも予想が外れてビックリしたらしくて、それでハシゴを登りきったところで立ち尽くしちゃったらしいのよ。

ってか、本当にドライトさんはいないのね?」


テルミスがアルヴァーに代わり説明してくれると、周りの壁を触りながら何かを確認していたマリルルナがケン達の元にやって来てそう言ってくる。 ちなみにシリカ達は納得してないのか何度も壁や天井、床を触ったり叩いたりして調べている。


「……まぁドライトが居ないのは分かったけどよ、なんで妹さん達はあんなに取り乱しているんだ?」


「それが分からないんですよ、ここにセレナ様が来たときも、敵襲~敵襲~!って叫びながら龍の姿で飛び回ってたらしくって、セレナ様が落ち着かせようと抱き止めてもまだあの状態で……。」


キャロリンも訳がわからないと言いながら、セレナの直ぐ後ろから上ったディアンに聞いた事を話してくれる。


「うーん、ありゃかなり混乱しているな、ここはショック療法だ。 俺の股間のグングニルを見せて驚かせれば。」




『お主は本当にアホじゃな!? わらわもこんな死因は初めて……でもなかったの、何にしろこんなアホな死因の者を蘇生してやるのは嫌じゃが、賄賂を貰っている以上は仕方ないから蘇生してやるからの!』


『すんませーん、お世話になりまーす!』


『お主はこの状況にもうなれたのか!? 主従揃って本当にアホじゃ!』


ユノガンドがそう叫ぶとケンは意識を失うのだった。




「よし、どこまで話は進んだ?」


「コイツもう復活しやがった!」


「おめぇがいると話が進まねぇから死んでろや!」


ケンは起きて状況を聞こうとしたら、何故かアルヴァーとフェリクスに罵られて女性陣に冷たい目で見られてしまう。


「うーん、何があったのか、と言うかこの子達ったらいつの間にこのダンジョンに侵入したのかしら?」


「ガンジス様達と温泉に居たはずですわよね、逃げ出したとしてもガンジス様達が気づかないはずないですから、おかしいですわね?」


「それよりも、ちと気になったんだがこの部屋なんかおかしくねぇか?」


シリカとサルファがステラとルチルを気にして話していると、アルヴァー達と殴り合いのケンカになりかけていたケンが何かに気がつきシリカ達に話しかける。


「女の敵、シリカ様に話しかけ「レイナ」……失礼しました。」


ケンがシリカに話しかけたのが気に入らないのか、キャロリンの仲間で剣士のレイナが殺気を放ちながらケンとシリカの間に入るが、シリカに止められる。


「悪ぃな、真面目な話だから安心しろや。」


そんなレイナの肩にケンが手をーーーかけずにオッパイに手を当て揉んだ。




『せめて一時間はもたんのか!?』




「それでだな?」


「こいつ慣れすぎだろ!?」


「まずはシリカ様とレイナちゃんに謝れよ!」


「いや、それよりもマジで気になったんだが、この部屋に上ってくるの結構ハシゴを上ったがそのわりに狭くねぇか?」


アルヴァーとフェリクスの文句をスルーしてケンは今いる部屋を見回してそう言い放つ。

ケンの言葉にアルヴァー達だけでなく、シリカ達もおや?っと部屋を見回している

だがセレナとディアンだけはまだ混乱してジタバタと暴れているステラとルチルをあやすのに忙しく、こちらに気づかないようだ。


「確かに変だわ、私達はハシゴを1分は上ってきたはずよ。」


「そうですわね、なのにこの部屋は狭すぎますわ。」


「ってことは、どういうこと?」


「……この部屋は……ダミー。」


アンジェラがそう言うと、皆がハッとして辺りを見回す。


「でも私はおろかマリルルナ様も気づかないなんて、あり得るんですか?」


テルミスはそう言うと、ケンがセレナ達の方を見ながら言う。


「それが何でなのか分かるのは、あの2人だろうな。」


ケンの言葉に、皆がステラとルチルに注目するのだった。



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