異世界転移 138話目




「みんな、準備はいい?」


「殺ってやるのです!」


「あいつ等のせいで、少なくない同族が死んでるからね。」


「絶対に許さないよ~!」


いまここに、カミロと謎の影との因縁の対決がおこなわれるのだった!




「今のはケンか!? 全隊方向転換、森に向かい天槍のケンを始末するぞ!」


「カミロ将軍、今は逃げなければ!」


「そうです、たとえケンを討ち取れても、リキッド王国から逃げ切れなくなる可能性が!」


「ええぃ貴様ら、貴様らは命令を聞いていればいいのだ! 転進するぞ!」


森に向かった6人の首が舞うのと、それをした人物が銀色に輝く鎧をまとい槍を持っていたのを見たカミロは、ケンを殺しに行くと言って側近達の意見を聞かない。


このままケンの元に向かってケンが1人だけなら討ち取れるだろうが、先ほども襲撃してきた者も考えると敵は少なくとも5人以上はいるはずだ。

それにカルタサーラまで撤退しなければいけないのだ、なるべく危険を減らしたいと側近や騎士達は考えていたが、そんなカミロ達の前に小さな影が4つ現れる。


それを見たカミロ達は横をすり抜けるが、カミロの視線に影の1つが銀色の髪をセミロングにした少女だと映ると部下達の呼びかけも無視して反転し、影、少女達の元に走り寄るのだった。




「カミロ将軍!」


「……居たか! お前だけは連れていく、来い!」


カミロら銀髪の少女、パールの元に走り寄るとそう言って手を差し出す。


「……ふん。」


「パールは渡しません!」


「あんた、やたらとパールに執着してるけど、いったいなんなの?」


「嫌われてるのに気がつけ~!」


そんなカミロをパールは鼻で笑い、パールの前にはパールを守るように3つの影、チェルシー、アルマー、ポリーが立ちふさがる。

そう、謎の影は犬っ娘+ワンだったのだ!


「将軍! そんな小娘どもなど放っておいて早く行きましょう!」


「黙れ!」


「ぐぉ!? しょ、将軍……」


「あの女は俺のだ、俺の物なんだ。」


側近の1人が逃げようとカミロをうながすが、その側近をカミロは斬り殺してパールをにらみつけるように見ながらブツブツとつぶやく。


「ずいぶんとパールに執着してるわね? パール、嬉しい?」


「冗談言わないで、殺してやりたいわ!」


その姿を見てアルマが引きぎみにパールに話しかけると、パールはドン引きで叫ぶように返してくる。


「しょ、将軍、女なら他にも居ますから「黙れ!」将軍!?」


「この女は、この女だけなんだ……俺が拷問する前に逃げやがったのは!」


他の側近がおずおずとそう言うと、カミロはとんでもないことを叫ぶ。


「ご、拷問? パールに惚れちゃったからとかで執着してたんじゃ?」


アルマが拷問と言う単語を聞いて頬をひきつらせながら聞くと、カミロの口からさらにとんでもない言葉が出る。


「今まで俺が気に入った女共はすべて俺を罵らせてから高ぶったところで痛めつけて殺してやったのだ!

そう、全ての女共をだ! なのにそこの銀髪は逃げやがった、俺のプライドと、高ぶった気持ちを静めるためには貴様をいたぶり抜いて殺さなければ気がすまんのだ!」


カミロは真性のクズで変態だった、どうやら彼は自分を罵らせることで自分のプライドを刺激して興奮したところでその相手、女性を惨たらしく拷問して性的な興奮を発散させていたようだ。


その事を知らなかったようで、さすがに側近や騎士達もドン引きしている。




「ほんっとうに変態ね、しかも死んだ方が、ううん。 殺すレベルの変態だわ。」


「ふん! ますます俺を高めてくれるのか、お前は特別に時間をかけてゆっくりと殺してやる!」


パールはあまりの変態ぶりにショートソード抜き盾をかまえながら、カミロをにらみつけそう言う。

そんなパールを見て気持ちの悪い笑みを浮かべながら、カミロは拷問の末に殺すと言って剣を抜く、側近や騎士達もつられて剣を抜いたり槍を構えるとパール達に向かう。


それに対して、チェルシー達もパールを守るように彼女前に出るとチェルシーがシミターのような曲刀を両手に1本づつ手に取り、アルマは小型の弓に矢をつがえてかまえて、ポリーはソョートスピアを手にする。


これは彼女達が昔から狩りなどで使ってた陣形だが、ケンに鍛えられて今では凄腕の冒険者や精鋭と言われる騎士達ですら蹴散らせるほどになっていた。


だがカルタサーラ側も側近はもちろん、騎士達も並みの精鋭ではないし、数から言えば圧倒しているので油断なく騎乗のまま、また馬から下りてパール達を囲むように包囲し始める。


そしてある程度、包囲したところでカミロが叫んだ!


「銀髪以外は殺せ! かかれ!」


「「「おお!」」」


そしてカミロの号令で一斉に襲いかかろうとした瞬間だった。


「おいおい、俺の嫁達を殺すだなんていい度胸じゃねぇか!」


カルタサーラの騎士達の首が10近く飛んだ、後方からケンが気配も感じさせずに攻撃したのだ!


「な!? き、貴様「わぉーん!」今度はなんだ!」


パールが雄叫びをあげるとチェルシーを先頭に一気にパール達が突っ込んで来る、先ずはポリーの槍が1人の胸を突き刺し倒し、そのポリーに斬りかかった馬上の騎士の首にアルマの矢が刺さる。


援護の矢を放ったアルマに側近の1人と騎士が2人向き直ると、その眼前にすでにチェルシーが迫っていた。

そして側近と騎士の1人が首を切り裂かれて倒れると、残った騎士が激昂してむぼうびに見えるチェルシーに剣を振り下ろす!


「小娘が、なにぃ!? ギャアァァ!」


そんな騎士の剣はパールの盾に受け止められ、がら空きになった胸元の鎧の隙間に剣を突き刺されて絶命する。




「い、いかん! 防御陣け、え?」


「おうおう、俺から目を放すなよ、寂しいじゃねぇか。」


慌てた側近の1人が守備隊形に移ろうとしたが、首をはねられ絶命する。

パール達に視線が集中したとたん、ケンが一気に詰め寄り側近と近くに居た騎士2人の首を槍で突き落としたのだ!


そしてパールの近くまでやって来たケンの周りにパール達4人が走り寄ると、カルタサーラの騎士達はカミロを含めて4人にまで減っていたのだった。



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