異世界転移 78話目
「まぁまぁ、こんなに怯えちゃって……」
「わふ~ん……」
「大丈夫? 綺麗になったし、ご飯もいっぱい食べましょうね?」
「キャフン!」
「はいはい、いい子ですね?」
「クフ~ン!」
「うん、ケン、死んで?」
「そりゃないだろ!?」
ならず者を騒ぎを聞き付けてやって来た衛兵に引き渡し、ケンはチェルシーとゴミ少女ABを連れて屋敷に帰ってきた。
そしてそこで買い物を終えて請求書の束を持って帰ってきたミラーナ達と鉢合わせた。
そしてガン泣きしながら漏らしたままでケンの後ろを歩くチェルシーと、ゴミと見間違うほどに汚れた2人を見てミラーナ達は慌てて3人を保護をして、お風呂に入れて帰ってきて先ほどのシーンとなったのだった。
「ご主人様、土下座。」
「あ、はい。」
ちなみにケンは帰ってきてからクリスの命令で土下座をし続けている。
そして今もミラーナの言葉に飛び起きたケンはクリス命令で再度土下座状態に突入した。
「それであなたがアルマちゃんであなたがポリーちゃんね?」
「はい、今回はお世話になりました。」
「チェルシーとまた会えるし~お風呂も入れて幸せ~」
「あークリス、マジで土下座解除して良い?」
「……しょうがないですね、許可します。」
クリスの許可を得て頭を上げると、風呂で綺麗になってきたゴミ少女A改めアルマと、ゴミ少女Bことポリーがそれぞれカリーナとシリヤに抱っこされていた。
そしてその顔を見て驚く俺。
『天津風と時津風じゃねえか!』
そう! アルマは艦○れの天津風と、ポリーは時津風とクリソツだったのだ!
『やっぱりドライトが何かしてるのか? それとも本当に偶然なのか?』
俺がそんなことを考えていると、ミラーナが質問をしてくる。
「それにしてもケン、何をすれば彼女達にお漏らしなんかさせたのよ?」
その問いにドライトがご褒美として用意してたのか? いや、あいつはそんな善良なことはしないし、なんに対してのご褒美なんだ? 等と考えていたケンはついやらかす。
「ん? いやこうやってちょっと威圧してやって……あれ?」
「「「―――!!!???」」」
こうして彼女達7人は、再度お風呂に入り直すはめになったのだった。
「それでよぉ、お前らなんであんなところでゴミになってたんだ?」
「ちょっとケン。」
「いや、言い繕っても意味ないだろ?
それでチェルシーを王都で拾ったときに話を聞いたが、お前らの部族ってもっと王都よりの北部に集落があったんじゃないのか?」
チェルシーを王都で引き取った時に冒険者ギルドに依頼してチェルシーの集落を探したのだが、残っていたのは放棄された村だけだった。
違法奴隷商にチェルシーは拐われたので集落も襲われたのか、チェルシーが居なくなったことで警戒して別の場所に移動したと思われていた。
なのに遠く離れたロットリッヒになぜ居るのかが不思議なので、ケンは質問をしたのだ。
「……チェルシーが拐われた後、集落が襲撃を受けたの、それで長が獣王国に近いロットリッヒに移動してそこで暮らそうってなって、もちろん反対意見も多く出たわ、特にチェルシーを残したまま去るなんて私は絶対に反対だった。
でも、続けて何度も襲撃を受けるようになって……いよいよもうダメだってなってね、ロットリッヒに向けて移動することになったの、でも……やっとロットリッヒの近くに来たら奴隷商に補足されてね? 移動中だったからみんなチリジリに逃げて、私とポリーはなんとか2人揃ってロットリッヒに入り込めたの。」
「その後は~ごみ拾いとかしながら生きてたんだ~
でも諦めないって大事だよね~チェルシーと再会できたんだから~。」
「私も再開できて嬉しいです!」
チェルシーはそう言うと、アルマとポリーに飛び付くように抱きつく。
アルマは少し迷惑そうにしながら幸せそうに、ポリーは幸せ全開でチェルシーを受け止めてお互いにほっぺたをペロペロ舐めあう。
「……他のみんなはどこに行ったんだろ。」
「パールにも会いたいです……」
「大丈夫だよ2人とも~みんな強いんだから~」
「ねぇケン、なんとか出来ないの? ……ケン?」
アルマとチェルシーを慰めるポリー、だがそんなポリーも涙を流している。
そんな3人を涙ぐみながら見ていたミラーナがケンに向き直り何とかしてと言う。
「……おい、お前らを襲ったやつらって、どんなやつらだった?」
「どんなって……冒険者っぽかったけど……そういえばかなりの使い手もいたわね?」
「私を捕まえた相手も、とっても強かったのです!」
「私、こんなの持ってるよ~?」
アルマとチェルシーは強かったことしか覚えてなかったが、ポリーは何かを持っていたようで脱ぎ捨てた古い服やゴミが置いてあるところに行くと、クリスが汚いと止めるのも聞かずにあさりだし始めて、すぐに何かを取り出すとケンのもとに持ってくる。
「これ~綺麗だったからとっといたの~」
ポリーが持ってきたのは1枚のワッペンだった、綺麗な刺繍で絵柄が描かれている。
「ちょ、ちょっとケン、これって……」
「ああ、南方の軍事国家、カルタサーラの紋章だな。」
ポリーが持っていたのは、南方の軍事国家の物だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます