異世界転移 29話目
アイヒベルクで一悶着有ったが、その後の旅は順調に進んだ。
俺以外は!
俺の旅が順調に進まなかったのはアイヒベルクでもそうだったが、ミラーナが何故か俺達と同じ宿にに泊まり、クリスと一緒に寝たからだった!
俺は馬車で宿泊するときは諦めていたが、町などで宿に泊まるときにはクリスとイチャイチャしようと決めていたのに、宿で宿泊するときには必ずミラーナが一緒に寝てたのですることが出来ずにたまってたまってモンモンとしてしまっていたのだ!
「でかい声で何を言ってるのよ!」
「子供も乗ってるんだから考えなさい!」
「おめえは馬車から降りて歩け!」
「さ、さすがに恥ずかしいです。」
うん、心の声が漏れていた。
ミラーナとフェリシーとアルヴァーに怒鳴られ、クリスには真っ赤になられて逃げられた俺は結局、徒歩で馬車に付き添い王都に到着したのだった。
「ふわあぁぁぁ……こ、ここが王都ですか!?」
「す、すげえ……ロットリッヒにアイヒベルクもすげえと思ったけど、ここは段違いだ!」
「ラ、ライナー君、ヒビってはダメです。
将来は2人でここをしめるんですから!」
「おっきいねー?」
クリス達が王都の巨大な城壁を見て呆然としている。
クリスとライナーは普通に驚き、アネットは物騒な事を言っているが、それは冒険者として頂点を目指すってことで良いんだよな?
ってか、仲良くなったなこの2人……。
最後に7歳のアンナだが、この子は歳以上にしゃべり方や行動が幼い、原因はフェルデンロットが魔人に襲撃されたときに友達とその家族が食い殺されるのをモロに見ちまったからだそうだ。
……まぁ、かなりましになったってクラーラやマックスが言ってたから、ましになったんだろうな。
なんにしろ俺達一行は王都の門の前で待たされていた。
王国軍も待っており、門衛に辺境伯様と侯爵様まで待たせて良いのか? って聞いたら今、入れると混乱するからもうちょっと待ってくれと丁寧に謝られた。
さすがは王都の門衛だ、しっかりとしてるわ。
そんなことを考えていると、クリスとミラーナがやって来る。
2人はロットリッヒで用意しておいたドレスを着ていた。
クリスとミラーナはお互いの目の色と同じ、グリーンとスカイブルーを基調にしたドレスを着ていた。
つまりクリスがミラーナの目の色のスカイブルーの服を着ていて、ミラーナがクリスの目の色のグリーンの服を着ていたのだ。
この2人は本当に仲が良いよな?
何て感じで2人や周りの皆を見たりしていると、門が開き俺達は招き入れられる。
そしてそこには―――王都中の人が集まったかというほどの人々がいた!
「王国軍万歳! 騎士団万歳!」
「ロットリッヒ辺境伯様と勇者フェリクス様に祝福を!」
「皆見ろ! あれがロットリッヒの冒険者達だ!」
「キャーー! フェリクス様も居るわ!」
秋から冬に向かうと言うのに、花々が舞うなかを人々の歓声を聞きながら王都に入る俺達。
軍や辺境伯、侯爵にミラーナは平然としているが、アルヴァー達とマックス達は呆然としている。
それに歓声の中に気になる言葉が有った、国王に報告するために先に王都に帰っていたフェリクスの名前が聞こえたのだ。
「おいアルヴァー、フェリクスが居るのか?」
「門の中に居たようだな、城壁の間に居て通るときに合流したようだ。」
「クッソー、何で俺がこんなに目立たなきゃなんねぇんだ。
フェリクスの野郎には絶対に下剤を食わせてやる!」
「やめろバカ!」
噂をしていたらフェリクスがやって来た、早速俺は水筒を取り出してフェリクスに勧める。
「おうフェリクス、今日は暑いな。 この水を飲んで良いぞ?」
「お、お前何時から準備してたんだ……やめろ、穂先を向けて脅すな!
それにもうすぐ冬だってのに暑くてたまるか!」
フェリクスに拒否されたので仕方なく水筒を魔法袋に戻す、フェリクスはそいつは捨てろ! なんて言っていたが、万が一にでもそこらでこぼしたら偉いことになるから、っと断った。
「ケン、あなた本当に何を用意したのよ?」
「……ミラーナ様は辺境伯様と一緒じゃなくって良いんですか。」
「ああ、婚約者とその親友がここに居るから、この馬車に乗ったままで良いわ。」
おお! 衝撃の発言だ! ってかミラーナはやっぱりフェリクスが婚約者だったのか、まぁ上位も上位の大貴族の娘だからな? いない方がおかしいし勇者のフェリクスなら釣り合うな、フェリクスも20半ば過ぎだしパトリシアだけでなく側室をってことなんだろうな。
とりあえず美女に加えて、美少女を嫁にするフェリクスには祝福の言葉を送っておこう。
「フェリクス、お家騒動で滅びろよ!」
「お前、縁起でもねえことをでかい声で言うな!」
俺の祝福の言葉が何故か気に入らなかったフェリクスが殺気を込めてにらんでくるが、俺はその視線を心地よく受けてグッジョブ! を送ってやる。
「ちょっとケン、バカなことしてないで、何かやって王都の民衆に見せてやってよ。」
「アホか、なんで俺がそんなことをしなきゃならんのだ? フェリクスにでもやってもらえよ。」
「……クリス。」
「ご主人様、実はロットリッヒでベビードールと言う、ピンクの下着も買ったんです。」
「よし、今夜にでも見せてもらおうか!」
「……じゃあ、ご褒美に何かしてみてくれませんか?」
「ケン、あの鎧と槍でよ!?」
「任せとけ! ……なんで着替えなきゃ「ご主人様ぁ……」銀龍よ、俺に力を!」
クリスとミラーナに頼まれて俺は仕方なく、本気の装備であるドライトがくれた銀色の装備一式を身にまとい、空中へと飛び上がる。
「龍の息吹よ、我が槍に宿り敵を滅ぼせ!」
そして槍に気を込めると空に一気に打ち出した。
そして打ち出された気弾は、空を割り大きな虹を造り出したのだった!
「綺麗……。」
「す、すご……!」
「な、なんだ今の技は!?」
「あの野郎、あんな奥の手を……!」
クリスは空にできた巨大な虹をうっとりと見ていて、その隣ではミラーナが驚愕して目を見開いている。
アルヴァーとフェリクスにも見せたことがない技なんで2人も驚いているようだが、王都の民達は度肝を抜かれたようでシーンとしてしまった。
だが少しすると歓声が上がり、一気に王都はまた賑やかになる。
「す、すげえ! なんだ今の!?」
「あ、あの方じゃない? ロットリッヒ最強の冒険者、ケン様は!?」
「! 天槍のケンか! すげえ……あんな方がロットリッヒを、王国を守ってくれてるんだ!」
「しかもミラーナ様の婚約者らしいぞ!」
「ケン様万歳!」
「これでフェルデンロットも取り返したも同然だ!」
「ケン様! どうか王国をお守りください!」
王都の民達が大歓声を上げるなか、俺は今夜にどう美味しくクリスをいただくかだけを考えていたので、俺の耳には歓声の内容は全く聞こえなかった。
「まぁ、クリスのエッチな姿見たさにあんなとんでもない技を繰り出すなんて、バカの一言よね?」
「ご、ご主人様は素敵です!」
「クリスちゃん、男は皆バカなのよ?
フェリクスだってそうなのだからね。」
「家のアルヴァーはちょくでバカね? 逆に分かりやすくて良いけど。」
ミラーナ、クリス、パトリシア、フェリシーの4人は、空を駆けるように戻ってくるケンを見て感想を言う。
それにたいして男性陣は一斉に反論するのだった。
「「「いや、あのアホとは一緒にしないでくれ!」」」
こうして俺達は、王都に到着したのだった。
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