【36】烏賊とドライブと鶴の城?②
呼子にて烏賊を満喫し、戻った車内。
「はるさん、本当美味しかったねー!!
さて次はどちらへと向かいますか?」
『んー、今14時前か。折角だしもう一ヶ所くらい佐賀県で観光したいよね~。唐津城跡行くかこの近くから遊覧船乗るのどちらがいいですか?ちなみに遊覧船は船上だけのやつと半潜水型遊覧船ってやつがあるみたい。』
スマートフォンで近くの観光地をすぐに調べてくれる彼女。さすが20代の若者は違う。
「んー。どっちも捨てがたいけど、やはり城好きとしては唐津城跡かな!!九州の城まだ見てないしさ?」
『了解~。遊覧船は今日みたいな日、人多そうだしお城に行きましょう。稜さんのお城比喩、楽しみにしてますよ~?』
比喩?何故かよく分からない圧を感じるのは気のせいだろうか…。確か以前松本城のことをイケメンと言っていたな。後でコンビニのトイレでこっそりと唐津城跡のことについて調べることにしよう。
「では九州旅行、初の城!【唐津城跡】へ向かってレッツラゴ~♪三十分くらいで着くみたいだからすぐだね~!」
『それ!久しぶりに出したわね。』
「う、う…ん、はるさん?わたくしお腹の中で烏賊が暴れているみたいです…少しばかりトイレへと立ち寄ってもいいでござるか…?」
『ご、ござる…?』
いつものお腹の緩さを理由に途中のコンビニへと立ち寄ることに成功。個室に入り、早速お城様についてこっそりと調べ始めた俺。たまにはお腹が緩いのも役にたつものだな!
…なるほど、豊臣秀吉の家臣が建てたものなのか。別名"舞鶴城"…。松本城では中に入らなかったがこの城は天守閣まで上がる必要がありそうだ。
はるさんへのお土産のアイスコーヒーを買って車へと戻る。車では寝ないと断言している彼女だが、昼食後とあって睡魔と戦っているのか助手席の窓にもたれて微睡んでいる様子が堪らなく可愛い。
「はるさんお待たせ~!眠気覚ましの
アイスコーヒーはいかがですか?」
『…じいや、さすがだね。私のことよくわかってるわ~。ちょうど飲みたいと思っていたところだよ、ありがとね~。』
「じいや、は余計だから!」
『…はーい。』
何とも心の込もっていない返事をありがとう!
さて、もう少しで着くみたいだし、先程調べたお城ウンチクでも聞かせてあげますか~♪
「はるさん?眠気覚ましに
お城ウンチクはいかがですか?」
『……、いらないって言っても一人で喋ってるんでしょ?聞き流すから話していいよ?』
「もー、聞きたいなら聞きたいって素直に言えばいいのにさ~?しょうがないわね~」
数ヶ月前にも同じようなことを言われた気がするが、何ヵ月経っても同じような話を黙って聞いてくれることが素直に嬉しい。
「はるさん!お城の魅力とは何ぞや?」
『…いきなり古の話からしますか?』
「瞼を閉じて、想像してみてくれる?どんな人がこの城の城主だったのか?この天守閣から眺める景色はどんなものだったのだろう?そこを色々と考えるのが、楽しいのじゃよ~!!」
『そんな風に色々考えながら、お城見てたんだね~。中々興味深いよ?』
少し褒められて調子に乗った俺は大好きな言葉を用いて更に熱く語りだす。
「はるさん、"強者どもが夢の跡"って言葉聞いたことある?これ、松尾芭蕉が"奥の細道"の終点の地で言ったとされる言葉らしいんだけど、何か格好良くないですか?戦に勝って、城を築く。城を守る為に、また戦。いきなり現れる強者に敗れ城をあけ渡す。その繰り返しが、歴史ロマンだよ!何度断られようが、同じ事を繰り返す、誰かさんみたいでしょ~?」
『……もしかして稜さん、戦国時代から
現世に転生してきました?』
「俺の恋はいつでも戦場なの~♪」
くだらない話をしている間に唐津城跡駐車場へと到着。彼女の眠気はコーヒーとウンチクに付き合わされた所為で覚めたようだ。
さて、唐津城跡を間近で拝見しますか~。
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